先週「国語に関する世論調査」の結果から、私にとって気になる言葉の話をしました。今週もその続きの話をいたします。
今プロ野球日本シリーズは広島東洋カープと日本ハムファイターズが激突していますが、いみじくもカープの緒方監督が鈴木誠也選手を評して「いまどきの言葉で言うと、“神ってる”」と表現しました。「神がかっている」と言う意味だと思います。なんとこの言葉は今年の流行語大賞候補の一つだとも言われています。まさにいまどき、「事故る(事故ってる)」「パニクる(パニクってる)」「愚痴る(愚痴ってる)」等々の言い方をする人は、特に若者は少なくありません。
こうした日本語は、一時の流行語としてやがて消えていくのであればよいかも知れませんが、中には(レンジで)「チンする」などのように普通の言葉として一般的に使われているような気がします。「ださい」も一時よく耳にしましたが、今は下火になったのではないかと思われます。一方、私たちが日常会話の中で、例えば「それ、ちょっとやばいなぁ」と言ったりしますが、「やばい」は、もともとは犯罪者の社会で使われていた隠語で、警察に捕まりそうで危険だという意味だったのが、いつの間にか一般社会でも使われるようになりました。若者のあいだではさらに活用させて、「それって、やばくない?」なんて会話は普通です。
「イケメン」なども便利な言葉ですが、便利なあるいは簡便なというだけの日本語がどんどんはびこっていけば、その分、美しい日本語が消えていくのではないかと思いたくなるのは考え過ぎでしょうか。 |