人は多くの物事を目から入ってくる情報で判断していますが、光や色は視覚から入ってきますので、目を閉じていれば影響を受けないと思っている時とはいないでしょうか。実はこれは間違いで、皮膚でも色を見ていて、様々な色の心理効果を受け、弛緩や緊張を繰り返しています。この様なことを「トーナス」といいます。
そして、色彩の変化による筋肉の弛緩や緊張状態により、脳波や発汗量から客観的に判断した値を「ライト・トーナス値」といいます。
例えばベージュなど明るい色を見ているときは、ライト・トーナス値は正常値「23」とほぼ数値が出ます。青色も「24」とほぼ弛緩している状態。緑色になると少し緊張状態になり数値が「28」まで上がり、黄色「30」、橙「35」となり、赤色になると「42」になり、血圧まで上昇してしまいます。そのため赤い部屋にいると目を閉じていても体が休まることはありません。逆に青やベージュだと眠っている時に一層リラックスできます。
このようなことが起こる原因は、皮膚の表面に「オプシン」というタンパク質があるためです。オプシンは眼球を覆っている網膜に多く含まれている物質で、赤、緑、青のそれぞれの色の光を区別することができます。また光の明暗を感じる「ロトプシン」という物質も同様に持っています。この現象を利用し、商品化したものが“朝専用”の缶コーヒーです。朝に目を覚ましてもらうために、パッケージに赤い色を用いることで視覚的にも触覚的にも効果があるため採用されました。
普段身近に存在するものの中で「何故この色が使われているのか」を考えてみると新しい発見があるかもしれません。 |