月日の経つのは早く、高倉健さんが亡くなって1年が経ちます。奇しくも6年前の11月10日は森繁久彌さんが96歳で、3年前の同日には森光子さんが92歳で亡くなっています。
「日本人に生まれて本当によかったと今日思いました」また「今後も、この国に生まれてよかったと思える人物像を演じられるよう、人生を愛する心、感動する心を養い続けたいと
思います。」これは2013年11月3日の文化勲章を受章したときの言葉です。愛され続けた国民的大スターのエピソードには限りがありません。
礼儀正しい人物として知られ、すべての共演者に挨拶を忘れず、監督やプロデューサーをはじめ、若い新人俳優やスタッフにも必ず立ち上がり、丁寧にお辞儀をして敬意を払う人柄。
「夜叉」で共演したビートたけしさんは撮影中のエピソードとして真冬の福井ロケのある日、オフだったにもかかわらず、健さんがロケ現場へ激励に現れ、厳しい寒さの中、出演者やスタッフは焚火にあたっていたが、健さんは全く焚火にあたろうとはしない。スタッフが「どうぞ焚火へ」と勧めるが、「自分はオフで勝手に来た身なので、自分が焚火にあたると皆さんに迷惑がかかりますので」と答えた。このためスタッフだけでなく、共演者誰ひとり焚火にあたれなくなったという話は有名です。「たけちゃんがあっちこっちで『座らない』『火に近づかない』なんて言うもんだから、おいそれとできなくなったよ」とは後の冗談。「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」が最後のメッセージです。
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