国旗、国歌について 2011年1月28日 東京高裁判決入学式や卒業式で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう、教職員組合に求めた東京都教育委員会の通達は、合理性があり、合憲である。東京高裁はそう判断し、通達は違憲とした1審・東京地裁判決を取り消した。原告は上告の方針。2006年の1審判決は「教職員に起立や斉唱の義務はなく、拒否しても処分されるべきではない」として原告の訴えを認めていた。これに対し東京高裁判決は、「国旗に対して起立することは、特定の思想を外部に表明する行為ではないから、それを命じても、思想・良心の自由を侵害することにはならない」理由の一つに、国旗掲揚や国歌斉唱が学校の入学式や卒業式だけでなく、スポーツ観戦でも一般的に行われている事実を挙げた。日の丸・君が代は国旗・国歌として、多くの国民に定着しており、自国はもとより、他国の国旗や国歌に敬意を表すのは、国際社会で当然のマナーである。教師が個人的に様々な歴史観や世界観を持つことは当然のことであるが、学習指導要領に反してまで偏った指導をしてもいいということにはならない。国語や数学の授業と同じく、国旗・国歌を尊重する態度を身をもって「指導」するのも教師の勤めである。国旗・国歌を巡っては、君が代のピアノ伴奏を拒否した教師が懲戒処分の取消を求めた訴訟で、最高裁が2007年に「伴奏を命じる校長の職務命令は、特定の思想を強制するものではない」と、合憲の判断をしている。今回の高裁判決も同じ流れにあるといえる。
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