先週は、天気のいい日に恵まれ、絶好の桜の開花を楽しめたのではないかと思い ます。 今週も八重桜が満開で桜並木の下を歩くのも良いし、地方の一本桜に会いに行く のも 良い。昔の日本人にとって、花見や月見が、晴れのひとときであったのですが、 今は ブルーシートで場所取りをして、会社や学校帰りに桜の木の下に宴を催すのでは 、普 段の延長線上でしかない。月見に関しては、月をまつる家庭などほとんど見られ なく なってしまいました。電気製品の登場で、私たちは、現代人は自由な時間を獲得 した。 同時に娯楽が増え、あらゆることに選択肢が増えた昨今だが、そのことがイコー ル豊 かさをもたらしたとは言えない。と俳人の黛まどか氏が言っている。一日千秋の 思い で初花を待ち、月の満ち欠けに寄り添って生きてきたころは、一年がもっと長か った に違いない。もちろん昔の生活が今よりのんびりとしていたと言っているわけで はな い。人々は、日々身を粉にして働きづめっただろう。だからこそまた花見や月見 といっ た行事を心待ちにし、丁寧に花や月を愛でたのだ。初花に始まり、花明かり、花 の雨、 花の雲、花冷え、花吹雪、花筏、残花・・・と季語として伝えられる桜をめぐる 言葉 の豊かさは、先人たちが桜によせてきた思いの表れにほかならない。今のご時世 にむ ずかしいかもしれませんが、初花を待つ心の余裕をどこかに育みたい。会長談話 を終 わります。ご静聴ありがとうございました。
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