ロータリー財団委員会 荻野委員長
会員の皆様にはロータリー財団の活動にご理解とご協力を賜り 真に有難う御座います
本日 卓話と言う事で 昨年GSEで4月〜5月の三週間 スウェーデンに福祉関係で行かれ 現在篠山RCの岡本氏が理事をされているデイサービス 「さくらんぼ」 で介護勤務されております西田珠美様にお話をお願いします。
西田珠美様のGSE報告書を下記に掲載します。
1.はじめに
今回、4月14日〜5月7日までの約3週間の間、スウェーデンに行かせていただく機会を得た。 スウェーデンと言えば、誰もが知っている福祉の国、そして、自然豊かなくに・・・。 この機会をいただかなければ行く事が出来なかった遠い国だった。
私は、介護老人保健施設で介護の仕事に就いている。私達の施設では、在宅復帰・在宅支援を目標にかかげ、住み慣れた地域・住み慣れた家で生活していただけるようにはどのようにすればいいのか日々取り組んでいる。その事もあり私がスウェーデンに一番期待していたものは、高齢者の方々の生活状況や施設の状況、リハビリの実際を知ることであった。 また、スウェーデンの方々との親睦を深め、生活習慣。文化なども知りたいと、期待をいっぱい胸に詰めて、出発した。
2、スウェーデンの介護施設
今回、3ヶ所の施設を訪問させていただいた。 イエブレの市で2ヶ所・そしてボルネスの市で1ヶ所。 日本でいうところの、特別養護老人ホームと介護老人保健施設に近い感じであった。 3ヶ所ともに共通している印象は、施設内全体が大変明るく、特に痴呆をもっている方々が外の景色を楽しみながら過ごせる広いテラスがある事。 そして、のんびりと落ち着いた雰囲気と職員が一人一人ゆったりと接しておられることであった。
まず、最初に訪問した施設(特養に近い)は、車椅子生活の方々のフロアーと痴呆の方々のフロアーに分かれていた。そこには、礼拝堂(キリスト教徒が殆どである)やティールーム・キッチン・リラックスルームなどがあり、日本との違いは大変家庭的な雰囲気であることだと感じた。また、各部屋の中もそうであった。もちろん個室であり、トイレ・バス・ベット・ソファー・机・キッチンなどがあり、日本でいう12〜15畳くらいの広さは有にあった。そして、本棚には本や写真などが置いてあり、大変家庭的な感じを受け、その人の生活の様子がうかがえた。
もう一方の介護施設(老健施設に近い)は、二つのリハビリ室があり、私が訪問している時にも二人の方がリハビリをされていた。 個々にリハビリ時間が決められており、その時間帯にそれぞれがリハビリ室を訪れると言うことだが、部屋から出てくる事がおっくうで決められた時間になってもリハビリ室にこない人も多くいるため、その都度声をかけていかねばならないと言われていた。 又、リハビリやケアの内容についてどのように決定しているのかとたずねると、ドクター・ナース・ケアスタッフ・理学療法士・作業療法士などが定期的に集まり、本人・家族・の希望などを取り入れながら、その人に応じたプランを作成し、実地しているという事であった。
今回、限られた数時間内での訪問だったことと、私自身の英語力の弱さのために充分な情報の収集に至らなかった。だが、私から見た印象は、日本とよく似ているということだった。 それは、日本が介護保険制度がはじまったことで、福祉の先進国と言われているスウェーデンに追いついてきているためだと考える。 (もちろん、スタートして2年しか経過していないため、充分だとはいえないと思うが。)
高齢者にとって最も大切だと考えている事(日本・スウェーデン共に)は、まず自立支援である。その人本人が望んでいる生活を送る事ができるように医療・看護・介護が一つになってその人をサポートしていく事。 もちろん自らが介護サービスを選択し、個人の意思を尊重していくことも重要であると考えている。 (一人一人の生活の仕方・環境などは違うため。) 私が今回、実際見て、話を聞いた事柄については、本当に日本とよく似ているという印象をうけた。 ただ、一つ感じたのは、これらの施設に入所している方々が在宅復帰を目指しているような感じを受けなかったということであった。どちらかと言えば、老後はここで過ごし、そのためにはどのようにサポートしていけばよいかを考えているように感じた。
スウェーデンでは、子供との同居世帯が少ないと聞いた。 もちろん、三世帯同居に関しては殆どないと聞いた。 また、私が見た殆どの女性が仕事を持っている。以前読んだ本にスウェーデンの生産年齢人口(15〜64歳)で特徴的なこと、夫婦(カップル)の約90%が働いていて男女ほぼ同数が労働人口であるということが書かれていた。 そのため、子供が介護していく事は殆ど不可能に近いと考えられるのではないだろうか。 私が聞いた話では、特養や老健施設のような施設への入所を希望している高齢者が多いとのこと。 だが、現在、望んでいる全ての方々が入所できるわけではない。そのため、在宅での生活をされている方々も多いと聞いた。 そして、その方々には、相談員(日本でいうケアマネージャー)が、本人・家族と話をし、どういった生活を望んでいるのかを知り、どういうサービスが適切かを考えて、在宅での生活をサポートしているということであった。
私たちの施設でも利用者の介護度が重要であることや家族の意識の変化などから入所期間が長期化してきている現状がある。 大切なことは高齢者の方にとって住み慣れた地域・在宅での生活が送れるように考えていく事、そして、それを支えている家族をどう支援していくかを考えていく事であると改めて感じた。 そのためには、私たちの施設の役割を多くの方に理解してもらう事が重要であると感じた。 今後、より満足のいくサービスが提供できるように、職員と利用者の方々と共に考え、歩んで生きたいと思う。
2.ハウジング・サービス
今回、訪問した一つの施設と隣接して高齢者用のマンションのようなものがあった。(これは、日本でいうところのケアハウスや軽費老人ホームなどにあたるものだと思われる。) ここには、自分一人での生活が可能な方が入られ、生活をしておられた。 食事等は施設の食堂に食べに行ったりする事もあると言われていた。 スウェーデンではこのようなマンションが所々にあり、現在も入居待ちの方が多いと聞いた。
3.スウェーデンでの生活
広い!というのが、第一印象だった。 建物・道・家・森など何もかも広く、想像よりもはるかに素敵な国だった。(北海道のような感じであった。)
? 家・・・木造家屋が殆どで、本当に暖かな印象であった。中も広く、暖炉があり、キャンドルのあかりがともっており、何とも言えない様な落ち着いたかんじであった。
? 食べ物・・・日本人好みであると思う。三週間の間、一度も日本食を恋しく思わなかった。(主食はジャガイモである。)また、パンも沢山種類があり、チーズ・フィール(ヨーグルトのようなもの)は毎日よく出ていた。
? コーヒータイム・・・一日に何回かあり、食事の後にもケーキや甘いパンなどを食べながらコーヒーを飲む。コーヒーは大変飲みやすく、おいしい。 だが、パンは砂糖が沢山使ってあり、私には甘すぎる感じであった。
4.仲間
今回の研修では、団長・チームメンバーに支えられ、そして、スウェーデンの方たちの優しさにも支えられ、三週間、無事に過ごすことが出来たと感じている。 特に、団長・チームメンバーには本当に感謝する事が多く、英語が不得意な私を気遣ってくださったり、体調を気に掛けて下さったりしていただいた。 又、ロータリクラブの例会に出席する度に、チームとしてのつながりが強くなっていったように感じた。 最期の地、Osutersundでの地区大会のプレゼンテーションが終わった時はやり遂げたという満足感と、終わった・・という脱力感があった。 同じ目的をもち、それを成功させるために話し合いを重ね、そしてやり遂げた時はより相手と通じる事ができる・共感することができる・・・仲間って良いものだと実感した。 それは関わって下さったスウェーデンの方々とも、そう感じた。 私にスウェーデンの文化・自然・食べ物などいろいろな事を教えようと楽しませようと考えて下さる為に、多くの時間を費やして下さる。 そして、私も日本の文化を知ってもらおうと話をする。そうする事により、お互いがより近い存在になってくる。 スウェーデンのGSEメンバーともそうであった。日本に彼らが滞在している時はわずかな時間しか共有できなかった。だが、今回忙しい中、また、中には体調をこわしているにもかかわらず私たちに会いに来て下さった。 彼らとは、今回の出会いによって更に親しくなり、今後も連絡をとりあっていける仲間になったと感じている。
5.最後に
このような機会を与えてくださったロータリークラブの方々、関わって下さったスウェーデンの方々そして、団長・チームメンバーに心から感謝します。
素晴らしい仲間ができたと思っております。
TACK SA MICKET!!
本当にありがとうございました。 今回学んだ様々な事を忘れずに今後も頑張っていきたいと思います。
TAMMY