※文末の連名団体に「日本作業療法士協会」を加えました。(03/05/31)
※文末の連名団体に「日本精神神経科診療所協会」が抜けておりました。お詫び申し上げます。(03/04/14)
| 平成15年3月19日 | ||
| 要望書 | ||
| 関係各位 | ||
| 全国保健・医療・福祉心理職能協会 会長 宮脇 稔 | ||
| 『医療心理士(仮称)』の国家資格制度の創設を要望いたします。 | ||
| 国家資格制度の必要性: | ||
| 1. | 平成2年度以来、厚生労働省は「臨床心理技術者の国家資格制度のあり方に関する検討」をくり返してきました。 その結果が平成13年度の厚生科学研究「臨床心理技術者の資格のあり方に関する研究」報告書としてまとめられ以下の指摘がありました。 | |
| 1) | 保健医療分野における心理臨床業務(心理査定・心理療法・心理相談)は、傷病者を対象に診療の一部を担うものであり、「医行為」に相当する部分が含まれている。 | |
| 2) | 「医行為」にかかわる以上は、その資質の担保はわが国の医療の安全性を守るために規定されている医事法制に則って明確にする必要がある。 | |
| 3) | 「医療保健心理士」の名称独占とし、厚生労働大臣が資格の実施者となり、国家資格とするのが適当である。 | |
| 4) | 医療の最終責任は医師であるから、「医行為」に関わる業務を行う場合には「医師の指示」の下に業務を行うという位置付けになる。 | |
| 5) | この資格を必要とする範囲は保健・医療の分野である。 | |
| 6) | 国家試験の受験資格は、大学において心理学の標準的カリキュラムを修めた後に、下記のいずれかの過程を経て発生する。 @ 指定医療、保健機関で3年間の研修を行う。 A 大学院において一定の臨床関連の心理学を修めた後に1年間の実地研修を行う。 | |
| 2. | 医療保健の分野において臨床心理技術者はチームケアに不可欠の職能を持つ人材であります。 | |
| 3. | 厚生労働省の調査によれば、精神科病院の常勤従事者として臨床心理技術者は1,402名在籍しており、診療所、精神保健福祉センター、などの医療機関を含めれば、非常勤勤務者も含めて4,5千人が無資格のまま、働いているのが実態であります。(厚生労働省平成12年6月30日調べ) | |
| 4. | 言語聴覚士、作業療法士、精神保健福祉士などはすでに国家資格制度のもとに資質が担保されています。また昭和61年公衆衛生審議会の意見書に、臨床心理技術者の資格法化等を明記されて以来、関係団体による要望が繰り返されてまいりました。しかし、臨床心理業務に携わる臨床心理技術者は無資格のままになっております。 | |
| 参考1. | 理由の1〜2の根拠は平成7〜13年度の厚生科学研究によって明らかにされております。 | |
| 参考2. | 良質なケアにはチーム体制による援助の提供が不可欠な時代です。 | |
| ○ | 臨床心理技術者は精神神経科、心療内科、神経内科、小児科、老年科、リハビリテーション科を始め、医療保健のあらゆる領域に関与しています。 | |
| ○ | 医療保健の分野では、身体、精神、社会・環境、生活、実存などを含む包括的援助が求められています。 | |
| ○ | 初期の段階からのリハビリテーションの概念を含んだ構造的援助によって、社会復帰までの期間を短縮できることが実績となってきています。 | |
| ○ | 専門的知識・技術が発達し、ひとつの職能だけでは十分なケアは果たせません。心理学的知識・技能もそのひとつとしての位置づけとなってきます。 | |
| ○ | 複合的な観点からの判断が必要であり、医療保健や社会福祉の場で対象が傷病者である場合にはとくに症状を左右する可能性がある局面が少なくありません。 | |
| 参考3. | 家族への支援は必要不可欠です。 | |
| ○ | 精神障害、思春期問題などを始め、精神の混乱を抱える家族が、ストレスを緩和し適切な理解と安定した援助を続けられるように、家族関係への心理学的働きかけが望まれています。 | |
| 参考4. | 健全な地域医療の発展のために、幅広い工夫や弾力的なプランの実施の点で、臨床心理技術者が貢献できます。 | |
| 参考5. | 今後発展するであろう司法精神医学の領域においても、「治療」と「更生」の両面が果たされるためには、認知能力や自己理解能力などの獲得、または再構築への援助が不可欠であり、医師による医療の一部として臨床心理技術者の職能が有効です。 | |
| 参考6. | 人生のあらゆるライフステージにおいて、心身を総体として捉えた観点からの心理学的支援が求められています。 | |
| 参考7. | 国民の心の健康の維持に関する援助体制の充実が必要です。 | |
| ○ | 急激な増加傾向にある自殺は、平成13年にはついに3万人を数える時代になりました。「うつ病」の早期発見・早期対応、および予防は急務であり、その窓口的役割を臨床心理技術者が果たす場合が少なくありません。 | |
| 平成14年5月以降、議員立法を前提に自民党、公明党、民主党などの国会議員の動きがあり、支援するために以下の22団体が連名をした要望書を各党に提出しています。 | ||
| 連名団体(50音順): | ||
| 国立精神療養所院長協議会 精神医学講座担当者会議 全国自治体病院協議会精神科特別部会 全国精神障害者家族会連合会 全国保健・医療・福祉心理職能協会 日本教育カウンセラー協会 日本健康心理学会 日本作業療法士協会 日本児童青年精神医学会 日本小児科学会 日本心身医学会 日本心理学会(検討中) | 日本心療内科学会 日本精神科看護技術協会 日本精神神経科診療所協会 日本精神科病院協会 日本精神神経学会 日本精神保健福祉士協会 日本総合病院精神医学会 日本認知療法学会 日本病院地域精神医学会 日本臨床心理学会 リハビリテーション心理士会 | |