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Q1について 医師法は医師の医学的判断及び技術をもってしなければ人体に危害をおよぼすおそれのある行為について資質の担保を規定している法律です。ここでいう「人体」とは心身の総体を指していますが、資格法とはこのように国民の安心・安全な生活の保証を目的に制定されるものです。 近年、規制緩和政策のもとに、政府が国民の生活を必要以上に規制しないで自由な発想を活性化させてより建設的な考え方が実現しやすいようになってきました。したがって資質の担保を国がしなくてもよい資格もさまざま出来てきました。それらは一定の条件によって自己規制の原則をきめ、資質の安定と向上を図ろうとする方法です。 いろいろな専門的知識や技術、そしてシステムが発達してきた昨今の医療の実践では、多職種によるチーム体制でなければ適切な医療効果を得られないことはだれもが知るところでしょう。そのなかでひとり心理職のみが無資格者であるということは、チームという営みによって責任を持った実践を進めていく時に不都合があると思いませんか? 15年前(実際にはもっと前からそれを認識している心理学関係者はいました)から指摘され続けてきたこの問題が、ようやく遅ればせながらの打開の道に辿りついたのが今なのです。 |
Q2について 医療の中で医療心理師に求められる臨床心理行為はカウンセリングだけではありません。例えば高次脳機能障害をもった方々の心理アセスメントや脳機能のリハビリテーションの領域では人格特性のみならず知覚や記憶をはじめとして認知機能についての知識や検証能力が問われます。また統合失調症をもつ方への援助には精神病理、環境、発達過程などが複雑に関係した過程をよく検討して見通しを立てていくことか求められます。多職種それぞれが係わりながら様々な観察をすると同時に、医療心理師のもつ知識や技能によって明らかに出来る状態像の説明が統合され、さらによいケアに発展していくのがチーム医療なのです。ほんの一部を紹介しましたが、心理学基礎をしっかり勉強していなければ出来ないことかたくさんあるのです。 |
※医療・福祉関係の資格・免許名、業務内容、受験資格など (医療・介護福祉のホータルサイトより) 1)医 師(国家資格):医業全般(病気の予防、病気・外傷の治療、リハビリテーションなどや、病気の原因を見つけるための研究など) @大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者 A医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経た者 2)歯科医師(国家資格):歯科医業全般 @大学において、歯学の正規の課程を修めて卒業した者 A歯科医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後1年以上の診療及び口腔衛生に関する実地修練を経たもの 3)薬剤師(国家資格):歯科医業全般 大学(短期大学を除く)において、薬学の正規の課程を修めて卒業した者 4)保健師(国家資格):地域に密着した、健康管理のアドバイザー 看護師国家試験に合格した者等で、かつ次のいずれかに該当するもの @指定学校において6月以上保健師になるのに必要な学科を修めた者 A指定の保健師養成所を卒業した者 5)助産師(国家資格):妊産婦への指導、分娩の介助など 看護師国家試験に合格した者等で、かつ次のいずれかに該当するもの @指定学校において6月以上助産に関する学科を修めた者 A指定の助産師養成所を卒業した者 国家資格 6)看護師(国家資格):療養上の世話や診療の補助など @指定学校において3年以上看護師になるのに必要な学科を修めた者 A指定看護師養成所を卒業した者 B免許を得た後3年以上業務に従事している准看護師又は高等学校若しくは中等教育学校を卒業している准看護師であって、指定学校又は指定養成所において2年以上修業した者 7)准看護師:療養上の世話や診療の補助など @指定准看護師養成所(2年)を卒業した者 A高等学校の衛生看護科を卒業した者 8)診療放射線技師(国家資格):放射線射線を人体に対して照射する技術者 大学に入学することができる者であって指定学校又は厚生労働大臣が指定養成所において、3年以上、診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えたもの 9)臨床検査技師(国家資格):身体の構造や機能に関する様々な情報を調べる技術者(血液や尿、血圧など) @大学に入学することができる者であって、指定学校又は指定養成所において、3年以上、検査に必要な知識及び技能を修得したもの A大学において医学又は歯学の正規の課程を修めて卒業した者 B医師若しくは歯科医師 10)理学療法士(国家資格):基本的な運動機能を回復させるため、運動訓練などを行う 大学に入学することができる者で、指定学校又は指定養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したもの 11)作業療法士(国家資格):心身の障害を回復に導くため、陶芸、園芸、手芸、工芸などの作業訓練などを行う 大学に入学することができる者で、指定学校又は指定養成施設において、3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得したもの 12)視能訓練士(国家資格):視機能に障害のある人に対し、機能回復のための矯正訓練や検査を行う。 @大学に入学することができる者であって、指定学校又指定養成所において、3年以上、視能訓練士として必要な知識及び技能を修得したもの A大学又は所定の学校若しくは養成所において2年以上修業し、かつ、英語、心理学、保健体育及び教育学、倫理学、生物学、精神衛生、社会福祉又は保育のうち2科目の各科目を修めた者であって、指定学校又は指定し養成所において、1年以上、視能訓練士として必要な知識及び技能を修得したもの 13)臨床工学技師(国家資格):生命維持管理装置の操作や保守点検を行うの @大学に入学することができる者が指定学校又指定養成所において、3年以上、臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの A大学若しくは所定の学校、文教研修施設若しくは養成所において2年(高等専門学校にあっては5年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者であって、指定し学校又は指定した臨床工学技士養成所において、1年以上、臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの 14)義肢装具士(国家資格):手足を失ったり、身体機能に障害のある人に対し。身体に合う義手や義足、コルセットなどの装具を製作する @大学に入学することができる者であって、指定学校又は指定養成所において、3年以上、義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの A大学若しくは所定の学校、文教研修施設若しくは養成所において1年(高等専門学校にあっては4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者であって、指定学校又は指定し養成所において、2年以上、義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの 15)歯科衛生士(国家資格):歯や口腔疾患の予防処置や歯科医療全般の補助を行う 指定学校を卒業した者又は指定養成所を卒業した者(2年以上) 16)歯科技工士(国家資格):歯科補綴(ほてい)物などの製作を通じて咀嚼(そしゃく)機能の回復向上、発声機能の回復向上などを図る 指定学校を卒業した者又は指定養成所を卒業した者(2年以上) 17)救急救命士(国家資格):救急現場や、病院に到着するまでの救急車内などにおいて、医師の指示に基づいて気道の確保、心拍の回復、輸液処置などの救急救命処置を行う。 @大学に入学することができる者であって、指定学校又は指定養成所において、2年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの A大学若しくは高等専門学校又は所定の学校、文教研修施設若しくは養成所において1年(高等専門学校にあっては4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者であって、指定学校又は指定養成所において、1年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの B大学(短期大学を除く)において厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者 C消防法に規定する救急業務に関する講習で所定の課程を修了し、及び5年(救急活動を行った時間が2,000時間に至った場合においては、それまでの間に救急業務に従事した期間)以上救急業務に従事した者であって、指定学校又は指定養成所において、1年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの 18)あん摩マッサージ指圧師(国家資格):あん摩・マッサージ・指圧 大学に入学することのできる者で、3年以上、指定学校又は指定養成施設において、あん摩マッサージ指圧師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの 19)はり師(国家資格):金属針で患部を刺激する東洋医学を実践 大学に入学することのできる者で、3年以上、指定学校又は指定養成施設において、はり師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの 20)きゅう師(国家資格):ツボにもぐさを置いて燃やし、熱刺激を与える東洋医学を実践 大学に入学することのできる者で、3年以上、指定学校又は認指定養成施設において、きゅう師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの 21)柔道整復師(国家資格):打撲、捻挫、脱臼及び骨折に対して応急的若しくは医療補助的方法によりその回復を図る 大学に入学することができる者で、指定学校又は指定養成施設において、3年以上柔道整復師として必要な知識及び技能を修得したもの 22)言語聴覚士(国家資格):音声機能・言語機能障害者や、先天的難聴などの聴覚機能障害者に対するリハビリテーション @大学に入学することができる者で、指定学校又は指定養成所において、3年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの A大学若しくは高等専門学校又は所定の学校、文教研修施設若しくは養成所において2年(高等専門学校にあっては5年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、指定学校又は指定言語聴覚士養成所において、1年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの B大学若しくは高等専門学校又所定の学校、文教研修施設若しくは養成所において1年(高等専門学校にあっては4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修 めた者で、指定した学校又指定養成所において、2年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの C大学(短期大学を除く)において厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者 D大学(短期大学を除く)卒業した者で、指定学校又は指定養成所において、2年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの 23)管理栄養士(国家資格):病院や市町村保健センターでの栄養指導、保健所等での栄養改善事業の企画、大規模な給食施設の管理業務を行う @修業年限が2年である栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた後、所定施設において2年以上栄養の指導に従事した者 A修業年限が3年である栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた後、所定施設において1年以上栄養の指導に従事した者 B修業年限が4年である栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた者 C修業年限が4年である管理栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた者 24)栄養士(公的資格・都道府県):病院や学校の給食センターなどで献立を作成したり、栄養指導を行う 指定学校(昼間部のみ)に入学し、その課程を履修して、卒業すると自動的に当都道府県知事から免許が与えられる。栄養士養成施設は、全て昼間の学校であり、通信教育・夜間部の学校は指定認可されておらず、かつて存在した国家試験制度も廃止されている。 25)精神保健福祉士(国家資格):精神障害者の保健や福祉に関する専門知識をもとに、社会復帰に関する相談援助を行う 受験資格は選択肢が多数ある。(財)社会福祉振興・試験センターを参照。 |
Q3について 「医師の指示」は「医師の支配」ではありません。法治国家である日本の法制度の中では、「医療の最終責任は医師にある」という意味なのです。生命に危険が迫っているなどの緊急の場合以外は実質的には包括的指示であることがほとんどで、例えば「Aという心理検査をして下さい」ではなく、「これこれの目的で心理検査をして下きい」という依頼のされ方がほとんどです。対象者の状態を考慮して医療心理師が目的に合ったテストバッテリーを組んで実施します。「医師の指示」に対しては不合理な点はその旨指摘し訂正を求めることも来ます。 また、医療現場では継続的に傷病者にカウンセリングや支援をおこなう場合にはきちんとしたインフォームドコンセントと契約が必要となります。医療現場では医療行為に対する明確な責任者を必要とし、その役目を果たすのが主治医の役割となりますので、現実には医師の指示なしに、継続的支援やカウンセリングあるいは心理テストなどを始めることはありませんし、許されていません。 |
Q9について 理想論としては、日本臨床心理士会が述べているように医療も教育も司法や他の領域を含めた横断的な心理の資格ができればいいと思います。しかし、現在の日本では、弁護士は法務省、医師は厚生労働省と関連する省庁が監督官庁となっています。横断的な資格となると監督官庁も複数にまたがります。この複数の監督官庁を一本化することは現在の実情からは難しいことと考えられます。 例えば「総務省を監督官庁とした資格」などと巷で言われたこともあります。しかし、教育現場や医療現場に総務省が、権限を持つとは思えません。このように考えると、横断的資格の実現は将来に官庁の再編などがあれば可能かもしれませんが現時点では不可能といえます。現実的に制度化を目指すなら、可能性のある選択は一資格一監督官庁の場合と考えます。 |