2005/08/15更新

お礼とお詫びとお願いと


平成17年8月11日
会員各位

全心協会長  宮脇 稔

 第162通常国会は、郵政民営化法案の参議院での否決により、衆議院の解散という劇的な幕切れとなりました。このことを受けて「臨床心理士及び医療心理師法案」の上程は正式に見送りとなりました。

 これまで医療心理師法案創設に向けた全心協の活動にご支援いただいた会員各位はじめ医療心理師国家資格制度推進協議会(以下、推進協議会)の各団体、学会の皆様、そして医療心理師国家資格創設のためにご参集いただいた議員連盟の国会議員の先生方には心よりお礼申し上げます。

 また、平成17年1月に推進協議会総会開催以後、2月の議員連盟結成、4月の決起集会 といった集会への参加をはじめ、国会議員の先生方への陳情への協力、あるいはまた多くのメールやファックスや電話による激励やご指導に感謝するとともに、その労に報いることができなかったことをお詫び申し上げます。

 皆様にはこの1年余りの医療心理師国家資格成立に向けた活動経過と臨床心理士法案との資格一本化の動きに対する全心協の立場や考えの経緯をお伝えする責任を感じておりますが、全心協がこのたび遭遇した現実に向き合い、整理するための時間をもう少しお与え下さい。

 実のところ、医療心理師法案要綱の議員連盟での承認を受けた4月16日の決起集会以後、4月19日に臨床心理士側の議員連盟が発足してからの一本化の動きは、すでに議員立法という政治課題になっており、全心協にはその概略すら把握することが困難な状況になっておりました。5月中旬に、議員を中心とした一本化の話し合いの中で、心理士会が医師の指示を受け入れることを条件に医療領域にも入ってくる案を出していることを知り、急遽6月中旬に医療と医療以外に領域を分けるべきであるとの推進協議会の見解を表明しました。その後、6月末に全心協は議員連盟間での調整の結果、法案の一本化が合意されたことを知りましたが、「臨床心理士及び医療心理師法案」の要綱骨子を知りましたのは合同議員総会で承認、公開された7月5日のことでした。

 7月8日には、この間の経過と法案要綱の説明会が推進協議会の主催で、21団体の代表の参加のもとに開催されました。事務局長からの経過報告と骨子の説明を受け、各団体、学会の意見交換を行い、推進協議会として「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子」を最終的にどのように受け止めるかが確認されました。

 要綱骨子の内容から様々な疑問や問題点が出されましたが、その中心は臨床心理士法案に関する内容です。「なぜ臨床心理士が医療領域にまで登場してきたのか」「医療領域に2つの資格ができると利用者が混乱する」「医療心理師との実務領域の区別が必要である」などの意見が強調されました。しかし、こうした疑問や問題点は残るものの、現段階で修正を加えることは法案そのものの成立を困難にすることが予想されると判断され、まずは法案成立を最優先課題とすることが確認されました。

 また、日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会等より提案された、具体的な修正意見については雇用者団体の意見として議連等に届けるとの結論となりました。

 こうした経過を受けて、日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会では両議員連盟に修正意見を提案されました。

 7月20日の時点では鴨下一郎衆議院厚生労働委員長は「修正意見を入れることは現段階では困難だが、与党政策責任者会議に提出し国会上程まで持ってゆきたい」と述べられましたが、20日以降の医療関係各団体からの反対声明を受けて、今期国会上程は困難であると判断されたようです。

 その後は冒頭に述べましたように衆議院が解散され、国会審議は中断し、障害者自立支援法も廃案となった次第です。

 全心協としましては、ここにきて法案上程が見送りとなり、13年間の悲願と努力の成果を手にすることがまたしてもできず、しばらくは事態を呆然と受け止めておりましたが、ようやく立ち直り始めている現状です。

 今、私たちが諦めてしまっては、医療心理師の国家資格創設は本当におしまいになり、経済的理由で心理職の支援を受けられない傷病者の現状の打開や、チーム医療の充実に齟齬を生じたままの現状の改善ができなくなってしまいます。医療領域の心理職の業務はその責任性と専門性の担保を持てず、違法性の現状を打破することができません。

 激動の政局を迎えて先の見通しは不透明ですが、国家資格の流れは決して消滅したわけではありません。もう一度一生懸命の汗を流してみたいと考えております。どうかそうした全心協の継続への意気込みと努力に今後もお力をお貸し下さい。

 650名を超える会員を擁する団体に成長した全心協は、8月28日に平成16年度の総会を予定しております。

 総会では、今後どのように運動を展開してゆくべきかを、多くの会員と共に真摯に考えて、具体的な戦略、戦術を検討、協議したいと考えております。

 まだまだ暑さの残ることと思われますが、ぜひ会員の皆様のご参加をお願いいたします。



<全心協事務局>

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