2011/08/06更新

「全心協ニュース No.65」巻頭言

東日本大震災へのお見舞い


2011年07月

全心協会長  宮脇 稔

東日本大震災へのお見舞い

 未曾有の大地震と津波そして原発による大災害に見舞われた皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。 被災者の皆様がこうしたかつてない惨事を体験しながらも、他人への気遣いを忘れず、礼節を守られ、共助の精神を発揮される姿に、日本人としての品格を見せていただきました。

 そして自ら被災者になりながらも支援に奔走している全心協の役員や、被災地支援のために何度も心理ボランティアとして入っている役員がいます。 また、一般ボランティアとして被災地におけるがれきの撤去や足湯ボランティアに参加された会員の報告も受けました。

 この大災害からの復興には、長い時間を必要とすることでしょうが、必ずや立ち上がり、みんなが共にある社会を新たに築くことができると確信しております。 そうした確信を与えてくださいました、皆様の忍耐やご尽力や愛情に対して心より感謝申し上げる次第です。

※※※※※※※

 さて全心協の資格化のためのロビー活動は、官僚や政治家が大震災への対応に追われて、中断せざるをえない状況が続いておりますが、この期間を利用して、資格化の要望書をきちんとまとめ、時期が来ればいつでも動き始めることができるようにと準備を進めています。 以下に震災前のロビー活動とその後の動きについて報告します。


ロビー活動報告

2011/02/17 午前  厚生労働省訪問

訪問者:3団体代表6名
  臨床心理職国家資格推進連絡協議会=鶴光代(会長)、奥村茉莉子(事務局長)
  医療心理師国家資格制度推進協議会=織田正美(会長)、宮脇稔(副会長)
  日本心理学諸学会連合=市川伸一(理事長)、野島一彦(副理事長)

訪問先:厚生労働省社会援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

内容:要望書(案)を持参して、内容に対する意見を求め、資格創設への協力をお願いした。 1時間で訪問は終了。厚労省としては政局が不安定な現状では積極的には動きにくいが、情報交換はきちんとやっていきたいとのこと。


2011/02/22 午前  鴨下一郎自民党衆議院議員(元環境大臣)訪問

訪問者:医療心理師国家資格制度推進協議会=織田正美(会長)、宮脇 稔(副会長)松野俊夫(事務局次長)

内容:医師団体の反対が無く、心理職の当事者団体間に反対が無ければ資格はすぐにも作れる。 現状で議員が調整を引き受けるわけにはいかないが、認定協会との関係調整も大切である。


2011/02/22 昼  櫻井充民主党参議院議員(財務省副大臣)訪問

訪問者:3団体代表

内容:資格には賛成だが、個人的には資格は学部卒でいいと考えている。 大学院に進学させる経済的に恵まれた者しか受験できないのは問題が大きい。 大学卒時点で受験し、その後現場での研修を受けるのがよい。 汎用性の資格でなく医療保健領域のみでよいと思う。


2011/02/22 午後  文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課健康教育企画室

訪問者:3団体代表

内容:認定協会との調整が大切です。 あとは不安定な政治情勢です。 現任者等の経過措置として講習を受講して受験してもらう方法もある。


2011/03/10 午後  坂口力公明党衆議院議員(元厚生労働大臣)訪問

訪問者:3団体代表

内容:当事者の関係団体がまとまったのだから、具体的な法案作りを進めて、来年の次期通常国会に法案提出する方向で協力したい。


2011/03/11 午後2時46分  東日本大震災発生

坂口元大臣の力強い支援のお言葉を受けて、法案作りに向けた取り組みを3団体で確認した翌日のことでした。

震災発生以来、3団体は資格創設のためのロビー活動は休止している現状です。 しかし、要望書については3団体が持ち帰りそれぞれに検討を進めています。

・医療心理師国家資格制度推進協議会では要望書案に対して反対意見はありませんでした。
・日本心理学諸学会連合は要望書の文言を審議するために5月7日(土)に臨時理事会を開催して要望書案について協議し、承認されました。
・臨床心理職国家資格推進連絡協議会では今後さらに要望書案について協議する予定とのことです。
・日本心理臨床学会では、4月17日、三団体要望書案を理事会で了承したそうです。

 3団体すべてが要望書(案)を承認し、(案)が外れて、初めて要望書が完成することになります。
 本ページ末に要望書(案)を示します。


2011/05/07  第13回3団体会談(要旨)

出席者:3団体代表者

会談内容: 
1)国資格の早期実現について
 1)第12回会談(2011.3.31)以降の各団体の経過の報告
・日心連:要望書(案)について加盟学会にアンケートをしたところ、臨時理事会開催の請求が行なわれ、5.7に臨時理事会を開催した。 審議の結果、要望書(案)が承認された。
・推進連:要望書(案)について4/9に全体会が開催されたが、結論が出るには至らなかった。
・推進協:要望書(案)について加盟団体から特に異論は出なかった。

2)今後の進め方について
 @要望書(案)について
・要望書(案)について現在の三団体の状況からして、まだ「(案)」は取れないが、「(案)」のままで関係機関等に相談にいくことはできるということが確認された。
・要望書(案)には記載されていないが、「国家資格についての三団体共同見解案(修正案)」の補足事項として記載されていた「経過措置」に関連して、受験資格について議論し、今後もさらに議論をしていくこととなった。

 Aカリキュラム案について
・日心連は、2010.12.23の理事会で独自の案をいったん可決したが、2011.5.7 の臨時理事会で、今後も引き続き積極的に検討していくことを申し合わせている。 推進連は、既に中間報告は出しているが最終案はまだ出していない。 推進協は、独自の案は作成していない。
・ 2011.5.7の日心連臨時理事会で、日心連が2010.12.23の理事会で独自に作成したカリキュラム案を日心連内外で積極的に擦り合わせを行なっていくことが確認されたことから、日心連より推進連、推進協に日心連カリキュラム案を提示することとなった。

 B政治家,官庁への働きかけについて
・ 3.11発生の大震災対応のため、政治家、官庁への働きかけは積極的に行なえないということを再確認した。

 Cマスコミへの働きかけについて
・3.11発生の大震災のため、マスコミに働きかけられる状態ではないということを再確認した。


2011/06/12  全心協役員会開催

全心協ニュースNo66にて紙上総会開催を決定。
役員改選について宮脇会長以下役員は原則留任の方向を確認。


2011/06/12  日本臨床心理士会の役員選挙

村瀬会長留任が決まり、資格推進の方針継続。


2011/06/19  日本心理学諸学会連合(日心連)理事会開催

選挙により理事長、副理事長、常任理事等が決定。
新理事長に日本発達心理学会理事長である子安増生氏が選ばれる。
副理事長には鶴光代推進連会長、織田正美推進協会長が選ばれる。
日心連の役員選挙結果を受けて、3団体会談メンバーの日心連代表は、市川伸一旧理事長および野島一彦旧資格担当委員長にかわり、子安増生新理事長および資格担当委員長(未定)が参加される予定ですが、資格推進の方向性は変わりありません。


以 上 



要 望 書 (案)

『心理師(仮称)』の国家資格制度を創設して下さい


一 要望理由
今日、国民のこころの問題(うつ病、自殺、虐待等)や発達・健康上の問題(不登校、発達障害、認知障害等)は、複雑化・多様化しており、それらへの対応が急務です。しかしこれらの問題に対して他の専門職と連携しながら心理的にアプローチする国家資格が、わが国にはまだありません。国民が安心して心理的アプローチを利用できるようにするには、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた専門職が必要です。

二 要望事項
1.資格の名称

心理師(仮称)とし、名称独占とする

2.資格の性格

医療・保健、福祉、教育・発達、司法・矯正、産業等の実践諸領域における汎用性のある資格とする。

3.業務の内容

@心理的な支援を必要とする者とその関係者に対して、心理学の成果にもとづき、アセスメント、心理的支援、心理相談、心理療法、問題解決、地域支援等を行なう。
A@の内容に加え、国民の心理的健康の保持及び増進を目的とした予防並びに教育に関する業務を行なう。

4.他専門職との連携
業務を行なうにあたっては、他専門職との連携をとり,特に医療提供施設においては医師の指示を受けるものとする。

5.受験資格 @学部で心理学を修めて卒業し、大学院修士課程ないし大学院専門職学位課程で業務内容に関わる心理学関連科目等を修め修了した者、
A学部で心理学を修めて卒業し、業務内容に関わる施設において数年間の実務経験をした者も受験できる。


*名称を心理師(仮称)としたのは過去の要望書の形式に合わせたもので、名称が心理師から心理士となることはあっても○○心理師という要望に変わることはありません。