2009/05/05更新

「全心協ニュース No.59」巻頭言


平成21年3月

全心協会長  宮脇 稔

2008(平成20)年度全心協総会開催

平成20年9月14日に全心協の総会が開催され、19年度事業活動報告、収支決算の承認および20年度事業活動計画案、予算案が承認されました。
また役員改選の年度にあたりますので総会では新役員の承認が行われ、その後の役員会で役員体制も決まりました。
平成20,21年度の2年間、宮脇が引き続き全心協会長として再任されたことを報告させていただきます。


学術会議の提言について

役員会において日本学術会議の提言「『職能心理士(医療心理)』の国家資格法制の確立を」について意見交換し、全心協としてのスタンスを確認しました。
役員間の意見の相違はほとんどなく、以下の結論にいたりました。

○ 学術会議の提言する職能心理士(医療心理)の養成カリキュラム案、医療現場での研修と資格取得の過程、業務と職域に関する内容については、全心協の主張する医療心理師の考え方と齟齬がなく、むしろ医療心理師法案を補完する内容であると確認した。

○ ただし、業務を業務独占とする案では心理テストや心理療法を他の医療職種が行えなくなってしまうことになるため、名称独占業務とするのが現実的と思われる。

○ 学術会議の提言は、心理職の国家資格制度創設の追い風と受け止め、全心協としては今後も「二資格一法案」の成立に向けて一層の努力を重ねてゆく。


医療心理師国家資格制度推進協議会(推進協議会)幹事会開催

平成20年9月26日(金)午後7時より池袋メトロポリタンホテル会議室にて、推進協議会幹事会が、幹事8団体のうち7団体から15人の出席を得て開かれました。全心協からは宮脇、藤本、松野の3役員が参加しました。

幹事会は総会準備のための話し合いでした。内容は昨年より実施してきた「二資格一法案」に対するアンケート結果の報告とそれを踏まえて、推進協議会として国家資格問題にどう取り組むかを具体的に検討するものでした。
アンケート結果は「二資格一法案」を尊重して国家資格創設に取り組むという回答が大半を占めていましたが、同時に、8月28日付けで公表された日本学術会議の提言も話題になりました。

幹事団体では提言の内容への反発や批判はなく、医療心理師の資格創設と何ら矛盾するところがないとの一致した意見でした。このことから、前年の総会において検討課題となった医療心理師法案部分に対する修正として学術会議の提言を受け入れることも可能であることが確認されました。

今後は幹事会の議事録に基づき推進協議会総会を開催し、「二資格一法案」を進める上での具体的方針を確認してゆくことになります。


国家資格創設に向けて

「二資格一法案」を実現するための全心協ができる努力については、No57の巻頭言ですでに示しています。それは以下の2点です。

@ 臨床心理士サイドと話し合いを持ち、臨床心理士法案の修正を含めて法案成立のためにとりうる可能性について話し合うこと。

A 医療心理師、臨床心理士の2つの当事者団体が中心になって、医療関係の団体に、心理職が医師と協力して業務を進めることができる職種であるとの理解を深めてもらう努力をすること。

@の臨床心理士サイドとの話し合いについては、連絡協議会(臨床心理士)と推進協議会(医療心理師)の話し合いとして、非公式ではありますが数回の話し合いの場を持つことができました。
その結果、平成20年度の心理臨床学会の資格シンポジウムに推進協議会の織田会長がシンポジストとして招かれ、「二資格一法案」の法制化に向けて協調して取り組んでゆくことを確認するに至りました。
臨床心理士法案の修正についての話し合いは今後の課題となります。医療心理師法案については、学術会議の提言内容に沿った修正であれば全心協としては受け入れたいと思います。

Aの医療関係団体との話し合いについては、「二資格一法案」に反対声明を出している団体である日本精神科病院協会(日精協)と日本精神神経科診療所協会(日精診)との話し合いは、推進協議会の参加団体であることから推進協議会幹事会でも話し合いをしています。
連絡協議会も日精協とは資格問題について話し合っています。
こうした話し合いを踏まえて、今後も推進協議会と連絡協議会で話し合いを重ねて、できれば現実的な修正案をまとめた上で、当事者団体として医療関係団体との具体的で前向きな話し合いに臨んでいきたいと考えています。



<全心協事務局>

〒 130-0013 東京都墨田区錦糸2-6-10
錦糸町カウンセリングルーム

E-mail:psycho@onyx.dti.ne.jp

Tel. & FAX. : 03-3623-1838
(留守番電話になっています)