2014/05/07up
第4回 心理職の資格化を推進する議員連盟が総会開催
― 公認心理師法案骨子を承認 ―



法案骨子に対する全心協の意見


参考資料@ 公認心理師法案(仮称)概要資料と説明


第4回 心理職の資格化を推進する議員連盟が総会開催
      ― 公認心理師法案骨子を承認 ―



第4回自民党議連総会が4月22日午後に開催されました。

議員連盟を代表して河村建夫会長はじめ、鴨下一郎、逢沢一郎、加藤勝信、山下貴司、丹羽雄哉、根本匠(敬称略)といった幹部議員がずらりと並ばれるなか開催されました。

議連の司会進行は加藤勝信議員(議連幹事長)で、総会は河村建夫会長のご挨拶に始まり、決意表明で締める形でした。

河村会長挨拶の後、関係団体を代表して村瀬嘉代子日本臨床心理士会会長と大塚義孝日本資格認定協会専務理事の挨拶がありました。これまで国家資格に距離を置いていた大塚氏が、挨拶で「議連ができ、法案作成の第一歩が踏み出されたことに感謝しています」と発言されたのが特に印象的でした。


出席した関係団体及び部署は以下の通り。

・臨床心理職国家資格推進連絡協議会
・医療心理師国家資格制度推進協議会
・日本心理学諸学会連合
・一般社団法人日本臨床心理士会
・公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会
・日本臨床心理士養成大学院協議会

関係省庁の出席は、

・衆議院法制局第五部 部長および第二課課長
・厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 課長および心の健康支援室長
・文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 課長および課長補佐

全心協からは医療心理師国家資格制度推進協議会の代表として宮脇、松野両名が参加しましたが、議連総会へのオブザーバー参加ですので、出席団体からの質問の機会はありませんでした。


法案骨子概要(参考資料@参照)の説明を山下貴司衆議院議員(議連事務局長)がされたのち、意見交換の時間になり、心理職現任者に不利益が及ばないようにきちんと処遇してほしいとの要望がありました。その後、骨子案が全会一致で承認され、丹羽雄哉元厚生大臣から、議員立法は最後の段階でダメになることがあると2005年の2資格1法案の経験に触れて、今回の資格は最後までしっかりやってほしいとの励ましがありました。

また、河村会長は閉会前の挨拶で、診療報酬を考えても国家資格は必要である。臨床心理士も無条件で国家資格には転換できない。何らかの試験制度が必要になると伝えられました。また、骨子が承認されたので、これから具体的に詰めて成立に向けて努力したい。と決意表明をされて総会は 1時間弱で閉会しました。



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法案骨子に対する全心協の意見

自由民主党議員連盟総会での承認を受けて、今後法案作成が急ピッチでなされると予想されます。そこで、法案骨子の表現に関して全心協は以下の2点について表現の変更を要望します。


1点目は骨子案「三 受験資格」の@Aの表現です。この文章では大学と大学院それぞれにおいて必要な心理学等に関する科目を修めることの表現としては不十分であり、大学卒業後の実務経験期間もありませんので、全心協は@Aの表現を以下のように変更することを要望します。

三 受験資格 (骨子案より)

試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ受けることができないこと。

@ 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)及び大学院を卒業した者で、その課程において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めたもの

A 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、第一の二@からCまでに掲げる行為に関わる施設であって主務省令で定めるものにおいて主務省令で定める期間以上の実務の経験を有する者

B 主務大臣が@及びAに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者


@ 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、大学院でその課程において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて修了したもの

A 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)において主務大臣の指定する心理学等に関する科目を修めて卒業し、かつ、第一の二@からCまでに掲げる行為に関わる施設であって主務省令で定めるものにおいて3年以上の実務の経験を有する者




2点目は、以下の骨子、「第四 義務等/一 義務」 の3Aの表現で、医師の指示が、医療関連施設といった場ではなく、主治医のいる傷病者という人にかかることになっている点です。

第四 義務等 (骨子案より)

一 義務

1 信用失墜行為の禁止
公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならないこと。

2 秘密保持義務
公認心理師は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないこと。公認心理師でなくなった後においても、同様とすること。

3 関係者との連携等
@ 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、医師、教員その他の関係者との連携を保たなければならないこと。
A 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないこと。

4 資質向上の責務
公認心理師は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならないこと。


全心協は、3Aの表現については3団体の要望及び、2013年2月21日の精神科七者懇談会総会の見解(*)を踏まえ下線部分を追記し以下のように変更することを要望します。

A 公認心理師は、医療関連領域において、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないこと。
*「医療分野における医師との関係については、心理相談等の多くは医行為に含まれるので医師の指示を受けることとする。」(2012.2.21精神科七者懇談会総会の見解)

以上



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参考資料@ 公認心理師法案(仮称)概要資料と説明


一 目的

公認心理師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって国民の心の健康の確保に寄与することを目的とする。


二 定義

「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを行とする者をいう。

@ 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
A 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
B 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
C 心の健康に関する知誰の普及を図るための教育及び情報の提供


三 試験

公認心理師として必要な知識及び技能について、主務大臣が公認心理師試験を実施する。
受験資格は、以下の者に付与する。

@ 大学及び大学院を卒業し、その課程において主務大臣指定の心理学等に関する科目を修めた者
A 大学で主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、卒業後一定期間の実務経験を積んだ者
B 主務大臣が@及びAに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者


四 義務

1 信用失墜行為の禁止
2 秘密保持義務(違反者には罰則)
3 公認心理師は、業務を行うに当たっては、医師、教員その他の関係者との連携を保たねばならず、心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治医があるときは、その指示を受けなければならない。※注1


五 名称使用制限

公認心理師でない者は、公認心理師の名称又は心理師という文字を用いた名称を使用してはならない。(違反者には罰則)※注2


六 主務大臣

文部科学大臣及び厚生労働大臣


七 施行期日

平成〇年〇月〇日から施行する。


八 経過措置

既存の心理葡資格者等に係る受験資格等について、所要の経過措置を設ける。


以上


※注1の説明
違反者への罰則規定は示されていません

※注2の説明
議連総会では既存の民間資格については、公認心理師あるいは心理師の名称は資格を取った人しか使えないし違反者には罰則があるが、「心理士」などの「士」の付く名称は名称使用制限にはかからないと説明されました。


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お問合せ先: 全心協事務局

〒 130-0013 東京都墨田区錦糸3-5-1-2F
  錦糸町カウンセリングルーム内

E-mail:psycho@onyx.dti.ne.jp

Tel. & FAX. : 03-3623−1838
(留守番電話になっています)

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