木下貴雄

退職金規程の改定

  • 退職金規程を改定したいのですが、社員は反対すると思います。どうすれば良いでしょうか?
  • 社員が受ける不利益を緩和する措置を講じたり、時間を掛けて社員と話し合いながら進めるべきです。

退職金規程の改定

退職金の原資の積立て不足や運用利回りの悪化により、退職金の支払が困難という会社が増えています。退職金規程どおりの退職金を支払っていると、将来的に倒産するかもしれないという会社が少なくありません。

そのような会社では、退職金規程を改定して、退職金を減額したり、退職金制度自体を廃止したりすることを検討しないといけません。

退職金規程を改定すれば、社員にとっては将来もらえるはずだった退職金がもらえなくなりますので、大きな不利益が及びます。退職金規程は就業規則の一部ですので、退職金規程を改定する場合も、就業規則の不利益変更の条件を1つずつ確認しながら進める必要があります。

なお、退職金規程を改定することによって、将来もらえるはずだった退職金額が百万円単位で減額されることもあります。減額される金額が大きければ大きいほど、社員が受ける不利益も大きくなりますので、それだけ就業規則の不利益変更が認められる条件も厳しくなります。

就業規則の不利益変更の条件にもありますが、会社は、社員と十分な時間を掛けて話し合って、積極的に賛成するとまではいかなくても、多くの社員に「やむを得ない」と受け入れてもらえるようできる限りの努力をしないといけません。

退職金規程(就業規則)の改定について、「やむを得ない」と受け入れてもらうためには、会社の状況(資産や人件費、売上や利益の見込み等)を詳しく説明した上で、社員が受ける不利益を緩和する措置を講じるべきです。不利益を緩和する措置としては、次のような方法があります。

長期間の経過措置

退職金規程を改定することについて、最も強く反発をするのは定年退職が近い社員です。

そのため、10年以内に退職する社員については、従来どおりの退職金規程に基づいて退職金を支給することを約束して、10年経過した以降に退職金を減額するという方法です。

このようにすれば、50歳代の社員の反発を抑えることができますので、全体的に受け入れられやすくなると思います。

2つの退職金規程

それでも受け入れられない場合は、2つの退職金規程を用意する方法があります。

平成○年○月○日時点で在籍していた社員に適用する退職金規程と、それ以降に入社した社員に適用する退職金規程(退職金を支給しないこともできます)の2つを用意します。1つの会社に2つの退職金規程があっても問題はありません。

この場合は、社員に不利益が及ぶことはありませんので、就業規則の不利益変更について検討する必要はありません。

どちらの方法も、一定期間は従来どおりの退職金額を支払う必要がありますので、これらの方法を選べるのは、ある程度の余裕がある会社に限られるかもしれません。

なお、退職金規程を改定する時点で計算した退職金の金額は、既得権として会社は支払を保証する必要があります。この金額を引き下げることはできませんので注意して下さい。

就業規則の変更について