木下貴雄

傷病休暇(法律を上回る制度)

  • 従業員が業務外で病気やケガをしたときのために、就業規則に、有給で休むことができる傷病休暇の制度を設けようと思っているのですが、いかがでしょうか?
  • 会社に余裕があるのでしたら、従業員には喜ばれると思います。

傷病休暇(法律を上回る制度)

従業員が私傷病により会社を欠勤したときは、有給で処理をすることは法律で義務付けられていませんので、会社は無給で処理をしても構いません。もちろん、年次有給休暇を取得したときは、有給で処理をすることになります。

当事務所で就業規則を作成するときに、質問の傷病休暇のような法律を上回る制度を設けたいという相談を受けることがあります。

しかし、割増賃金の支払いや年次有給休暇の付与等、労働基準法等の法律をクリアできていない部分がある場合は、まずは、これらの是正をするべきです。

傷病休暇を就業規則に規定していても規定していなくても法律的には関係ありませんが、割増賃金の不払いは立派な法律違反です。もし、法律違反が公になったときは、強制的に是正させられます。

したがって、優先順位で考えますと、第一に、労働基準法等の法律をクリアすることが大事です。法律を上回る制度を就業規則に設ける前に、そのための費用的な余裕があるのであれば、その費用は割増賃金の支払い等、法律を守るために使う方が賢明です。

以上により、傷病休暇のような法律を上回る制度を就業規則に設けても良いのは、労働基準法等の法律を守った上で、更に余裕がある会社に限られます。そのため、中小零細企業で、そのような傷病休暇を設けている会社はほとんどありません。

「このような制度があれば従業員に喜んでもらえるだろう、我が社でも就業規則に傷病休暇を設けたい」と考えることは、従業員思いで素晴らしいと思います。

しかし、労働基準法で定められている年次有給休暇が使いにくい会社であれば、その前に、年次有給休暇を使いやすいようにするべきです。ちなみに、厚生労働省では、年5日の年次有給休暇の消化を義務付けるよう法改正が検討されています。

また、傷病休暇については、健康保険の傷病手当金との関連もあります。従業員が私傷病で会社を欠勤して、賃金が支払われないときは、所得を補償する制度として、健康保険から賃金(標準報酬月額)の3分の2に相当する「傷病手当金」が支給されます。

しかし、傷病休暇の制度を就業規則に設けて有給で処理をすると、健康保険の傷病手当金は支給されなくなります。健康保険を有効に活用するのであれば、私傷病による欠勤については無給で処理をするべきです。

なお、傷病手当金が支給されるのは、連続して3日休んで、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。最初の3日間は有給でも構いません。

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