木下貴雄

就業規則と社会保険労務士

  • 就業規則の作成を行政書士にお願いしたのですが、まずいでしょうか?
  • 社会保険労務士としては、お勧めできることではありません。就業規則の作成は、専門家である社会保険労務士に依頼するのが良いと思います。

独占業務

国家資格には、社会保険労務士や税理士、行政書士、司法書士など様々な種類があります。それぞれの専門分野に関する試験があって、試験に合格した者だけが資格を名乗ることができます。

そして、社会保険労務士になると、例えば、健康保険の資格取得の手続きを代行したり、雇用保険の資格喪失の手続きを代行したりできるようになります。

このような業務は、社会保険労務士以外の者はできません。違法行為として、社会保険労務士法で定められています。このような業務を独占業務と言います。

同様に、税理士、行政書士、司法書士等それぞれの独占業務とされている業務については、社会保険労務士が行うことはできません。

就業規則の作成業務は?

「行政書士に就業規則を作ってもらった」「税理士に就業規則を作ってもらった」という話を聞くことがあります。

しかし、就業規則の作成業務は、社会保険労務士の独占業務です。本来は、社会保険労務士しか就業規則を作成することができません。

そんなことを言われても、経営者にとっては「どうでもいいこと」でしょう。しかし、「どうでもいいこと」で済む話ではありません。

就業規則は簡単に作成できるけど...

経営者が「就業規則が欲しい」と思ったときに、身近な相談相手となる税理士に相談をして、「私がサービスで作りましょう」というパターンで作ってもらうことが多いのではないでしょうか。

税理士等がモデル就業規則や他の会社の就業規則をコピーして、勤務時間などを調整すれば、就業規則としての形は簡単に出来上がります。

就業規則の作成(変更)は専門家に

税理士、行政書士、司法書士など、それぞれの分野においては専門家に違いないのですが、就業規則に関しては専門外です。

税理士等がモデル就業規則を使って簡単に作成した就業規則でも、会社には、そのとおりの対応が求められます。例えば、休職期間が2年と規定されていれば、2年間の休職が義務付けられます。よく考えるとできないこと、想定していないことが、経営者の知らない所で規定されているかもしれません。

何か社員と問題があったときに、「就業規則にどのように規定しているか」はとても大事なことです。

就業規則を専門としている社会保険労務士は、過去の膨大な裁判例やトラブル事例を勉強して、会社に不利にならないような規定を1つ1つ織り込んで作成しています。他士業がサービスで(無料で)片手間に作ったものとは違います。

専門外の方が過去の裁判例まで勉強しているとは考えにくいです。そして、サービス(無料)で作ってもらった就業規則が原因で、トラブルが大きくなったとしても、責任は会社が取らないといけません。

社会保険労務士に就業規則の作成を頼んでも、当たり屋みたいな人もいますので、トラブルをゼロにすることは難しいですが、会社を守ることはできます。

社会保険労務士に、就業規則の規定1つ1つの意味を尋ねれば、その内容や意図を明確に解説してもらえるはずです。

就業規則の作成について