◆ 木曽御嶽本教について ◆
千三百年の昔より、御嶽信仰(御嶽山大権現)は、霊峰御嶽山を根本とする両部神道の修験にありました。登山参拝には百日間の*精進潔斎(ショウジンケッサイ)の制度があり、常人では大変困難なことであったため、多くはその里宮に参拝するのみでした。天明二年、覚明(カクメイ)行者が苦行の末、この制度を打破されたことにより、常人の登山参拝が可能になりました。そして寛政四年、普寛(フカン)行者が王滝口の参道を開道され、各地に御嶽信仰がひろめられました。
そののち、尾張国熱田の儀覚行者が宮丸講を組織して、中仙道を登拝されたのが講社の始まりとされています。明治二年、神仏分離の勅令により、「御嶽山大権現」が「御嶽神社」と改称され、国家管理となったため、講社は宗教行事を行うことができなくなりました。しかし、昭和二十一年、宗教法人令が施行され、神社も宗教として取り扱われることとなり、それまで離散していた講社の重立者が集結して「木曽御嶽本教」を立教しました。そして昭和二十七年、文部大臣より認証され、今日に至っているのです。*精進潔斎とは、神事に奉仕するにあたって、一定期間、飲食・行為などを慎み、心身を清めて家(ここでは黒沢里社の斎舎(イミヤ))にこもること。
◆ ご祭神 ◆
木曽御嶽本教のご祭神は、*造化三神(ムスビノオオカミ)と、総本 山と仰ぐ御嶽神社のご祭神、国常立尊(クニトコタチノミコト)・大己 貴命(オホナムチノミコト)・少彦名命(スクナヒコナノミコト)の六柱の神を、「御嶽大神」としておまつりしています。*造化三神(ムスビノオオカミ)
・天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)
・高皇産霊神(タカミムスビノカミ)
・神皇産霊神(カミムスビノカミ)◆ ご神徳 ◆
・天之御中主神 ………… まだ、天地が開ける前に現れなさいました大元霊であり、八百万(ヤオヨロズ)の神々のご神徳は、すなわちこの神のご神徳であるとされています。 ・高皇産霊神 ………… 天地創造のはじめに現れなさいました神で、万物の生成発展を司るとされています。 ・神皇産霊神 ………… 高皇産霊神の次に現れなさいました神で、高皇産霊神の万物の生成発展を助け、還元統一を司るとされています。
*造化三神は天地創造の神であり、天之御中主神のご神徳が高皇産霊神、神皇産霊神と次々に現れることから、この三神は一神として尊ばれており、万物の生成を司る霊魂の親神様とされています。
・国常立尊 ……………
天地が開かれると共に成られ、大地を載養する神とされています。 ・大己貴命 ……………
国土開発をされ、人の生活の道を教えられ、福徳を与え男女の縁結びを司る神で、大国主命(オオクニヌシノミコト)または大黒様ともいわれます。 ・少彦名命 ……………
神皇産霊神の御子神で、大己貴命と兄弟となって国土経営をされた。医薬禁厭(まじない)の術を司る、俗にお薬師様といわれる神。 ◆御嶽神社について◆
御嶽神社は、里社本社・里社若宮とにわけられる末社三十八社と頂上奥社を総称して、木曽御嶽神社といいます。
ご祭神は大己貴命・少彦名命・末社三十八社の神とされています。
また、御嶽山内の八海山には大頭羅神王が、三笠山には刀利天、不動明王、摩利支天が、おまつりしてあり、御嶽山頂上のお鉢巡りには三十六童子が、三の池のお鉢巡りには八大童子がおまつりしてあります。
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