指揮棒から受け取るメッセージ        
                                 安原 
            
  「ヨハネ」の演奏会まであと?ヶ月・・・。合宿も済み、練習もますます熱気を帯びてきました。今回は、ふだんピアノの陰で感じていることを皆さんにお伝えし、少しでもお役に立てたらと思い、鍵盤ならぬキーボードをたたいている次第です。
 
 『指揮棒が語ること』
 まだ中学生だった頃、TVで小澤征爾の『僕の音楽武者修行』を題材にしたドラマを見たことがあります。何夜だったか連続で、とても遅い時間に放送されて、眠い目をこすりながらも驚きを持って見たのでよく覚えています。その中でとても印象に残ったシーンがあります。小澤が齋藤秀雄先生のレッスンでこっぴどく叱られる場面です。指揮棒を振り回し、うまくいかず口でいろんなことを言い、どうにかしようと躍起になって怒鳴りつけられるのです。「棒でどうにかしろ!!!」
 その後、私も大学でピアノの他に、指揮の副科をとって勉強してみましたが難しいの何のって!すぐに挫折してしまいました。
 指揮者はその棒から、いろんなメッセージを私たちに伝えます。自分では直接音を発することはないのです。そのメッセージをたしかに受け取ることが出来たら!どんなに楽しいことでしょう。
 
 『なぜ遅れるの?』
練習中、「遅い!遅れている!」と先生がご注意なさることがありますが、なぜでしょうか?「ピアノの音じゃなくて、棒を見て合わせて!」というのは、どういうことなのでしょうか?ここだけの話、ちゃんと見ているわよ、なんて思ったことありませんか?
 皆さんの本番は、ピアノでなくオーケストラ伴奏です。ここに危険は潜んでいます。ピアノ1台と合唱だったら、ある程度の部分で妥協点を見出すことは可能かもしれません。
ところが異なった性質を持つ数々の楽器とアンサンブルをするのです。ああ、なんと難しくて、なんと魅力的なことでしょう。
 
『速い曲』
 棒を見るときに注意することはたくさんありますが、曲の性格によっても違います。
大雑把にわけてしまえば、テンポの速いものと、ゆったりしたもの。速い場合の方が、合わせるという点からは、問題は少ないと思います。(個々が歌えているか否かといった問題は全く別です。)速く鋭い時には拍の核になる“点”がよく見えるからです。指揮者はメトロノームの音が聞こえるかのように、一点を叩いています。よくご覧になってください。その“点”を見るためには、楽譜から目が離れなくてはならないのは言うまでもありません。この“点”さえ見逃さなければ大丈夫。ただ、あまりに凝視し過ぎるとかえって迷うので、指揮者のテンポ感と、ご自分のテンポ感を合わせる努力をするのです。頼りすぎてはいけません。
 
 『ゆったりたっぷり・・・』
 問題はテンポが遅い場合です。これは本当にやっかいです。コラールなどがこの類に分けられるでしょうか。幸い、松村先生の棒は、かなりわかりやすいです。だからといって、速い曲のようにはっきりとは“点”は見えません。ではどうしましょう。先生が描く図形をよく観察しましょう。細い繊細な線のこともあれば、太い筆で書かれる行書のようなこともあります。大きくふわりと浮かんだり、勢いがあることも。“点”は存在します。
 オケの器楽奏者たちは、楽器によって違いはありますが、音の立ち上がりがゆっくりです。テンポが遅ければそのぶん、ゆっくりゆっくり弾き出します。指揮棒の“点”は、出てくる音よりも先へ先へと導いていきます。楽器よりも後ろに立つ皆さんは、音ではなく先を行く棒に合わせましょう。
 先生は「不用意に声を出さない」とよくおっしゃいますが、楽器も必ずブレスを取る用意をするので、ゆったりしたテンポの時に、オンタイムで音が出るようなことはありません。
 
 『第一声・第一音』
 速くても遅くても、指揮者が必ず棒で「せーの!」と声をかけますね。その予備拍で、曲のテンポを見極めなくてはなりません。松村先生のお言葉をお借りすれば「付き合い長いんだから。」その予備拍をよーくじっくり見ましょう。わかりづらい時には、心の中で裏拍をとります。2分割、あるいは4分割です。顔が上がっていないなんて!そんなこと、ありませんよね。
 曲のおしまいに音を切るときは、速い曲はすっぱり、ゆっくりの時は丁寧に、適切な表現と思えませんが、納豆の糸を切るみたいに棒が音を切ります。その瞬間を見極めましょう。
 
 『ことば』
 歌詞があるので、楽器とイコールばかりではありませんが、よくあるご注意に子音を前に、ということがありますね。これも子音が先に発音されて母音と“点”(音)があうということになります。合宿中に何度も何度も練習しました。子音は点と合わせません。 
 
『依存しない』
 いずれにしても、受身でなく、自分たちが作っていくという能動的な意識が必要ではないでしょうか。
 今まで書いたことと相反するかもしれませんが、棒に合わせるのではなく、ひとりひとりの持っている声、音楽を棒によってまとめてもらう、編み上げてもらう。お互いが寄り添って、心を合わせて作っていく。依存したものからは何も生まれないように思います。
 
 『リリンクの著書より』
「個々の合唱団員は、曲の全合唱声部ならびに楽器声部を追跡し、それによって自分の声部を、曲全体の見地から一目でとらえ得るような状態に置かれるべきである。(中略)練習の目的は、合唱団が自分の曲を技術的にマスターし、音楽的に練り上げることである。そうすることによって、合唱だけにかかわる諸問題を、オーケストラとの合同練習にほとんど持ち込まないですむのである。」
    ヘルムート・リリンク著 J.S.バッハ マタイ受難曲 ―解釈と演奏― より抜粋
 
 °°°°°° 練習での先生のご注意から 〜 °°°°°°
 
♪<書き込みの訂正> 第16曲b(P.72)24小節目… 3拍目までは強いままで
           S・A・Tは3拍目のnicht まで。Bは3拍裏のnicht までは強いままで、そこからディミニエンドを始める。
           ※ 変更になりましたので、必ず楽譜を訂正しておいて下さい。
 
♪ コラールの歌詞の発音は4分音符の時も必ず二つ割りで発音する。特に他パートが8分音符で動く時は要注意!
 
♪ 前の曲とのつながり、曲の始めの和音はCDを聴いてイメージを持っておく。
 
♪ 第21曲d… Kreuzige が連続するところでは、語尾のge を短くして次の Kr を発音する練習を何遍もすること!
 
♪ ブレスを吸って声を出す前に母音の口をつくる。歌う母音の口で息を吸うつもりで。
 
♪ 音量を落としてしゃべりを多くするということは、母音の圧力を下げて、子音の圧力を上げるということ。
 
♪ 毎回上手くいっていて本番で7割!
 
♪ この曲をどう歌うのか、各自が一曲一曲のイメージを持つこと。一回試しに歌ってみるというのはそろそろ終わりにして、一回目でどれぐらいのものが出来るかというこ  とを深めていく。
 
   Ä毎回のたくさんのご注意の中から、全体に関するものを拾ってみました。
     音楽は生き物。練習の中で毎回新しいものが生まれてきます。
     練習を休んだ時は、パートリーダーや近くの人に必ず変更の確認をしましょう。

         <次曲楽譜販売のお知らせ>
 
  2006年演奏会 デュリュフレ「レクイエム」、プーランク「グローリア」の
  楽譜が到着しました。予定より少々早めですが、首を長くして待っている方々のためにも本日(7/16)より販売致します。
◆ 価格(単価)  
デュリュフレ「レクイエム」 ¥3,700                          プーランク 「グロリア」   ¥1,900
   ※ それぞれが湘フィル価格で市価の2割引きとなっています
◆ 2冊セットで購入の場合は ¥5,500
 
◆ パート別に各パートリーダーがとりまとめます。
     現品引き換えとなりますので、くれぐれもおつりのないように
     ご準備下さい。
 
 
 ÓÔÑÒÓÔÑÒÓÔ 新 入 団 員 紹 介 ÓÔÑÒÓÔÑÒÓÑ 
   ♪ヨハネ期から入団された方にアンケートに答えて頂きました。
   @湘フィルを何で知ったか A湘フィルの印象、感想 B 自己PR、湘フィルへ一言
  (テノール)河原塚 さん
 
@ 団員に誘われて
A 非常に練習熱心で、参加するたびに気が引きしまります。先生方のご指導も具体的でわかりやすく、音楽を作っていく過程がとても楽しいです。
B 歌うほど、合唱の奥深さを感じています。
      (テノール)熊谷 さん
 
@ 団員に誘われて
A 以前、グロリアのGクラスでマタイを一緒に歌った事があるので、今度は湘フィルのメンバーとして歌えるのが楽しみです。
B ドイツ語で歌うことはほとんどなかったので、気合い入れて練習に臨みます。よろしくお願いします。

 
        ÌË 2005年7月&8月の練習日程 ËÌ

 8月  6日(土)
13日(土)
21日(日)☆
27日(土)
 玉縄学習センター         18:15 〜 21:30
 玉縄学習センター         18:15 〜 21:30
 明治公民館             18:15 〜 21:30
 明治公民館             18:15 〜 21:30
 9月
 3日(土)
10日(土)
18日(日)☆
24日(土)
28日(水)
29日(木)
30日(金)
 茅ヶ崎市民文化会館大ホール  18:15 〜 21:30
 リリスホール             18:15 〜 21:30
 茅ヶ崎市民文化会館大ホール  18:15 〜 21:30
 リリスホール             18:15 〜 21:30
 茅ヶ崎市民文化会館大ホール
 茅ヶ崎市民文化会館大ホール   オーケストラ合わせ(夜間)
 茅ヶ崎市民文化会館大ホール    ※詳細は次回の通信にて
                               お知らせします
10月  2日(日)  第16回演奏会 『ヨハネ受難曲 BWV245』
 横浜みなとみらい大ホール  17:00開演
  ※ 集合時間等くわしい日程は未定
         
 ☆8/21、9/18は日曜日の練習です。お間違えなく=
 





 
明治公民館駐車場は会館建て替え工事のため、一般駐車ができなくなります。
本格工事着工後は現駐車場は閉鎖されますので、近隣の駐車場をご利用下さい。
(周辺Pの案内図を受付にご用意いたします)
徒歩の方も足元には充分注意してお通り下さい。
 
 
△▼編集後記▼△
今月号には、いつもピアノでお世話になっている安原先生 が、投稿して下さいました。練習で、先生の指揮と合わず に苦労している私たちの様子に、何かヒントになればと普 段感じていらっしゃることをまとめて下さいました。音取 りも終わり、音が見えてくると俄然、歌うことが楽しくな ってきます。でも、一人で歌うのではなくみんなと息を合 わせなければいけないところが、アンサンブルの難しさで あり、醍醐味でもあります。これからの二ヶ月、先生の指 揮の下でどんな曲を創りあげられるか、それは私たち一人 ひとりの意識にかかっているのです。
                                     Tama