ヨハネによる受難物語の特徴 (その2)
                          バス 指原 建司 

 戦後の冷戦終結の中心にいらして、全世界のキリスト教徒および平和を求める人達を力付けてきたローマ法王ヨハネ・パウロ2世が4月2日に天国に召されました。

私たちがこの記念すべき年に「ヨハネ受難曲」を歌うことは、お名前にヨハネを選ばれた、ローマ法王様の地上の働きに連なるような思いを感じております。
法王さまは、ナチのポーランド抑圧の中で、地下神学校で学び、何人もの友人の死、ユダヤ人が連れ去られるのを見ていらっしゃいました。戦後、何故自分が助かったのだろうと問うことから出発され、十字架につけられた神の愛をその身に感じ、生かされた自分の道として神に仕える決心をなされました。
死の間際まで、お互いに愛し合い、和解しようと「平和のメッセージ」を語り続けられた法王様の死は、死がすべての終わりではなく、サンピエトロ広場の鐘の音とともに、その魂が天の御国に帰って、傷み苦しみから解放され、今も生きておられるという実感を私たちに与えて下さいました。
今から281年前の1724年の4月7日(聖金曜日)に、バッハは、「福音書記者ヨハネによる受難物語」をもとに、イエスが十字架につけられた日を記念する晩祷礼拝用に作曲した、「ヨハネ受難曲」を聖ニコライ教会で演奏しました。
福音書記者ヨハネは愛の使徒として知られており、4福音書のうちでもヨハネだけが、「最後の晩餐」でイエスが弟子たちに語った、新しい掟(わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい)の記録を残し、又イエスの愛とは、身代わりの死であることを、「ヨハネの手紙一」の4章で、次のように解説しております。

『愛する者たち、互いに愛し合いましょう。愛は神から出るもので、愛する者は皆、神から生まれ、神を知っているからです。愛することのない者は神を知りません。神は愛だからです。神は、独り子を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。
ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました。わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。
ここに愛があります。愛する者たち、神がこのようにわたしたちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです。』(Tヨハネ4:7−11)
バッハもこの言葉(わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さいました)を作曲のテーマとしたことは当然考えられます。

第T部の冒頭の合唱の歌詞(「主よ、私たちの支配者よ、あなたの誉れはあらゆる国で隠れないものです。」)はユダヤの地に始めて王国を築いたダビデ王が作詞し、指揮者によってギティト(調子の名か?)に合わせた賛歌、詩篇8の2節からとられております。
このダビデ王の詩は5節の言葉(「そのあなたが御心に留めて下さるとは 人間は何ものなのでしょう。人の子は何ものなのでしょう あなたが顧みて下さるとは。」)で良く知られている詩ですが、バッハは、身代わりの死を遂げられた神の受難物語こそ、神の顧みの具体化であると歌わせます。

聖書の出来事は、受難週木曜日の夕方から始まり、最後の晩餐を終えたイエスとその弟子たちが、エルサレムの街を出てキドロンの谷を越え、オリーブ山に向かい、そこでユダの裏切りによりイエスが逮捕され、イエスに従った弟子のペテロがイエスを否認してしまったことに泣き、イエス様にそのような自分の方に目を向け、良心を掘り起こして下さいと祈るコラールで終わります
第U部の冒頭は、キリストが聖書に書かれた通りに、私たちの身代わりになって捕らえられたというコラールで始まり、金曜日の朝のピラトの尋問から始まります。続いてユダヤ人の暴動を恐れたピラトにより死刑判決を受けたイエスが、夕方に十字架につけられて亡くなりイエスの亡骸を墓に葬るところまでを福音史家の聖書記事朗読に導かれてたどります(添付資料 「聖書の出来事とヨハネ受難曲の歌詞」参照)。
語りの部分は福音史家に個々の人物の言葉は他の独唱者達に歌わせ、合唱は冒頭と終曲を除いて、人々の言葉、叫びの役割を分担し、アリア、アリオーソは人々の心の動きの変化を伝え、コラールによる賛美に結びつきます。
聖書の中の人々の言葉、叫びは、私たち一人一人の人間がいかに愚劣で付和雷同しやすいかを強調するようであり、このような人間を本当に神様は顧みて下さるのでしょうかと疑問を投げかけたまま、イエスの死を迎えます。
マタイ受難曲は合唱(私たちは涙を流しながらひざまずき)で終わりますが、ヨハネ受難曲はマタイ受難曲と似た合唱(安らかに眠って下さい、聖なる亡骸よ)で終わらずに、合唱の後に、「一人一人の死の安息の願いとイエス・キリストへの賛美」のコラール(ああ、主よ最期の時がきたら)が付け加わります。
バッハが何故、ヨハネ受難曲にこのコラールを加えたのか良くわかりませんが、コラールの歌詞(アブラハムのふところへ運んでゆかせてください)から考えると、バッハは神がアブラハムを選び、神が約束した救いの道が、バッハの時代まで連綿と引き継がれてきたことを思い起こさせ、失敗を何度も繰り返し、他人を傷つけながら生きている、どうしようもない私たち一人一人も、福音書記者ヨハネが語った「愛なる神の遠大な救いのご計画」に与っていることに、気づかせようとしたのではないでしょうか。
時代は隔たり、神への賛美の道は異なりますが、バッハもローマ法王もヨハネが伝えた神の愛を真摯に次の世代に伝えようとなされました。私たちも、彼らの心を受け、互いに愛し合う心を込めて「ヨハネ受難曲」を歌いたいものです。
添付資料 「聖書の出来事とヨハネ受難曲の歌詞」
 
 訃 報
   長年、ソプラノで一緒に歌ってこられた金子 勇子さんが
   5月18日 永眠されました。心よりご冥福をお祈り致します。
 
2005年湘南国際村センター合宿のご案内 (No.3)
                             合宿委員(S)土肥明子
2005年ヨハネ受難曲期の団員も締切となり、いよいよ「湘フィルフルメンバー」(に近い)での合宿となります。本番まで4ヶ月余り、感動の舞台を実現する為、ステップアップを目指して、この合宿を団員が一丸となって有意義なものに致しましょう!
楽譜を忘れずに!
因みに、参加人数153名(宿泊134名、宿泊なし19名)
     不参加   6名 休団  2名
 
合宿スケジュールは、通信3月号に記載済みですが、夕食時間が変更になりますので、訂正をお願いします。
     18:00 〜 á(正)17:30 
 
練習会場 … 発声・全体練習 → 国際会議場(B1)
                 ルミエール(1F)男声
        分 奏      国際会議場(B1)女声
                 R−208会議室(2F)T、B別練習
 
♪食事についてカフェテリア“オーク”を利用致します。
但し、夕食のみカフェテリア“オーク”での全員使用が不可能なため、下記の2会場を使用致します。(パートで分けましたので、ご了承下さい。)
         ※夕食   カフェテリア“オーク”…A、T、Bのみ  ホワイエ … S
朝食、昼食はカフェテリア“オーク”のみの利用です。他のお客様と一緒になりますので、時差利用にご協力を御願い致します。
 
夕食、昼食はチケットを発行致します受付にてお受け取り下さい。
 朝食はバイキング形式なので、チケットは発行致しません。
 宿泊以外の方も、御食事の申し込みをされた方は夕食、昼食のチケットをお受け取り下さい。
      <カフェテリア“オーク”営業時間>
        朝 食   7:00 〜  9:00
        昼 食  12:00 〜 13:30
        夕 食  17:30 〜 18:30
        (夕食は湘フィルのみの使用で、ホワイエも同時刻)
 
♪湘フィル「合宿受付」 … 当日、参加内容の確認や、カードキーの受け渡し等、全て         をホワイエ(国際会議場入口)に設ける「受付」にて行います。途中参加の方も、まず受付へ!
 
♪予定変更について食事、宿泊のキャンセルは1週間前までとなっております。
 以降は払い戻しは出来ませんので、ご承知おき下さい。
前日までの連絡は、S土肥(50467−41−5150)迄。当日の連絡は直接センター迄、お願い致します。
           湘南国際村センター 5&FAX 046−855−1800
                          担当 米澤さん
 
♪宿泊される方へ … 〈持ち物〉浴衣、洗面用具、タオル、スリッパ等全て完備されています。その他、各自必要なものをご用意下さい。
             ※食料(生もの)は全館持ち込み禁止です。ご注意下さい。
 
 〈チェックイン〉6/4(土)  荷物を持ったまま、ホワイエへお出で下さい。まずは、受付を。1 5時                  より入室可能ですが、 部屋の鍵(カードキー)は全体練習終了時 (15                  :30)にお渡し致します。
 
 〈チェックアウト〉6/5(日) 朝食後、朝9時までに各自でセンターのフロントへカードーをお戻しの上電話代等の各自利用分を精算して下さい。その際、荷物は全て練習会場 へお持ち下さい。       練習時間には遅れないよう、お願い致します。                   
          ※ 他にも研修の方が、宿泊されています。マナーを守ってお互いに、気持ちよく過ごせるように気をつけましょう!
 
♪車を利用される方へ … 駐車場は無料です。但し、混雑も予想されますので極力乗り合わせてお出掛け下さい。
 
♪電車、バスを利用される方へ … JR、京急「逗子駅」からのバスの時刻表を湘フィルの練習会場受付に用意してありますので、ご利用下さい。
帰り(5日)は国際村センターからJR逗子駅までバスを1台チャーターしてあります。(17:30発、無料)ご利用下さい。
 
 
 
 
 
             
  
新入団員です・・・どうぞよろしく

   アルト   杉浦 さん、 瀬戸 さん、 石井 さん  
  テノール   杢中 さん、  鈴木 さん、 陣内さん   
   バ ス   相馬 さん、  加藤 さん





 
 
 ÓÔÑÒÓÔÑÒÓÔ 新 入 団 員 紹 介 ÓÔÑÒÓÔÑÒÓÑ 
       
 
   ♪ヨハネ期から入団された方にアンケートに答えて頂きました。
   @湘フィルを何で知ったか A湘フィルの印象、感想 B 自己PR、湘フィルへ一言
 
(ソプラノ)遠藤 さん
 
@ 「スタバト・マーテル」「讃歌」の演奏会を聞いて&HPを見て
A 先生方、役員さんがそれぞれのセクションで、きめ細かく面倒を見て下さり、感謝、感謝です。アットホームで居心地がよいです。
  練習の進みが速い!
B バッハ大好き人間です。自宅は本郷台リリスから徒歩10分です。
(バス)村井 さん
 
@ 数年前から知っていました。パウロの公演を聴いた記憶あり。
A 和気あいあいの雰囲気、練習熱心な団員。
B オケ伴混声合唱が好き。
  ただそれだけです。
(テノール)立山 さん
 
@ 何回か演奏会を聴いて&HPを見て&団員に誘われて
A 皆さんのびのびと歌っておられ、又、非常にていねいな曲の解説や、発音訳等も配布され、合唱を熱心に取り組まれていることを感じました。
B 「ヨハネ受難曲」は前々から歌ってみたい曲でした。練習に参加してますますこの曲が好きになりました。
 
        ÌË 2005年6月&7月の練習日程 ËÌ
         
 5月
 6月








 7月
28日(土)
  4日(土)
  5日(日)

11日(土)
19日(日)
25日(土)



 2日(土)
  9日(土)
16日(土)
23日(土)
30日(土)
 リリスホール          18:15 〜 21:30
  é 合 宿           13:00 集合 
  ê  湘南国際村センター    17:00 解散
              ※詳細時間割は通信3月号参照
 玉縄学習センター        18:15 〜 21:30
 リリスホール          18:15 〜 21:30
 明治公民館   (全員:ホール)18:30 〜 発 声
         (男声:文化室)19:00 〜 20:00
         (女声:ホール)    同 上
         (全員:ホール)20:00 〜 21:30
  リリスホール          18:15 〜 21:30
  鎌倉芸術館小ホール      ※18:30 〜 21:30
  玉縄学習センター        18:15 〜 21:30
  リリスホール          18:15 〜 21:30
  明治公民館           18:15 〜 21:30
 
・会場により開始時間、終了時間が違っています。場所、時間ともに確認を!
・会場づくりのため、各会場とも練習開始10分前までにお集まり下さい。
     ・準備、片づけ、清掃まで、全員で協力して行いましょう!
     
  ★ 6月から明治公民館、玉縄学習センターでの練習は、リリスホールと同様、21:30までとなります。ご注意下さい。        
  ☆ 6月から明治公民館駐車場は会館建て替え工事準備の為、使用できなくなります。 近隣の駐車場をご利用下さい。(周辺Pの案内図を受付にご用意いたします)
  ★ 合宿に関る詳細は通信3月号をご参照下さい。路線バス時刻表を受付にご用意いたします。その他合宿についての問い合わせはS土肥まで。
  ※ 7月9日(土)は舞台準備の都合上、18:30開始です。イス並べ、後片づけは、協力し合ってスムーズに>お願い致します。