暑中お見舞い申し上げます。暑いですねぇ。言っても仕方ないと思いつつ、つい口に出てしまいます。この暑さの中、われらが湘フィルでは早くもクリスマス・コンサートの音取りが始まりました。明治公民館:17時からの自主練では新曲2曲の音取りが順調に進
行中。清らかなハーモニーにしばし暑さを忘れて・・・明治公民館のみの自主練習です。皆さん、ふるってご参加下さい。
さて、先月号に引き続き、演奏会用プログラムから大沢さんの書いて下さった曲目解説を掲載させて頂きます。
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モーツァルト キリエ ニ短調 KV.341
大沢 栄子(S)
モーツァルトは葛藤していた。古来芸術家は、特に音楽家はそうであった。作曲家がどんなに時代の先を走り、同時代の人々に理解されなくても自分の意のままに作品を書き続ける近現代とは異なる時代に、彼は生きていた。
モーツァルトは一般にはこのように思われているのかも知れない。「彼は天才と呼ばれ、父レオポルトの教育と息子を世に出すための努力によって、少年時代から宮廷貴族にもてはやされ、その才能を余すところなく発揮して多くの素晴らしい作品を残したが、惜しくも35歳で世を去った」。たしかにモーツァルトの作品は、まるで泉から溢れ出る清冽な清水のように美しくも自然なメロディーが迸り出て、作曲の苦悩など微塵も感じさせないかのようである。
しかし社会学的に見れば彼の生きていた時代(1756―1791)は、宮廷支配のヒエラルキーのもとで、音楽家は領主の命ずるままに作曲をし演奏する役目を与えられた、いわば使用人だった。宮廷貴族のお気に召すままの曲を作っていれば給料をもらえる。その意味ではドイツやイタリアには芸術家・音楽家を召抱えて支援する有難い領主があちらこちらにいた。しかし、領主の代が替わったり趣味が移ればすぐお払い箱になる、音楽家は不安定かつ自由な意志で創作出来ない身分だった。
モーツァルトほどの才能ある作曲家がそれに甘んじていられる筈はなかった。彼は自分の才能を重んじようとしない領主に対して不満・怒りを持ち、また非常に自尊心を傷つけられていた。モーツァルトはある時ついにザクセン選帝侯に反逆して宮廷の職を投げ打ち、自由な音楽家として生き始める。自分の音楽を愛し支持してくれる人々のために予約演奏会を開き、支援してくれる出版社に作品を売って報酬を得るという、近代的な音楽家の生き方の先駆けとして出発したのだった。これは直ちにうまくいった訳ではなく、モーツァルトはその後も行きつ戻りつの葛藤をしなければならなかった。ちなみにベートーヴェンはモーツァルトより14年あとに生まれただけだが、ほぼ完全に自由な音楽家の立場を得ている。
きょう演奏する「キリエ・ニ短調」はオペラ「イドメネオ」の成功後すなわち1781年の、8分ほどの短いが意欲的な作で、ミュンヘンで作られたので「ミュンヘンのキリエ」と呼ばれてきた。モーツァルト25歳の完成度が高く評価されている。ただしモーツァルトの作品は草稿が失われ、作曲年代の断定できないものが多い。この曲もモーツァルトがどこかの宮廷か教会に雇われたくて、自己推薦状として作られた説もあり、ミュンヘン説を疑問視されてもいる。確かにモーツァルトの晩年は不遇であり、自由音楽家として生活することは困難だったからである。
それはさて置き、演奏をお聴きいただきたい。
ご存知のとおり、キリエはミサの中で音楽的には最初に歌われる祈りの曲で、「主よ憐れみたまえ。キリストよ憐れみたまえ。主よ憐れみたまえ(キリエ エレイソン、クリステ エレイソン、キリエ エレイソン)」と繰り返し歌われるミサ通常文である。そのようにこの曲も三部形式になっている。
合唱は一貫して和声的な進行であるが、三部形式の中間部が、ニ短調から次々に転調してニ短調に戻る自然な流れが美しい。
また、いかにもモーツァルトらしいオーケストレーションであるが、ホルンを4本も、そしてそれまであまり使われなかったクラリネット2本を入れた管楽器の厚みと華麗さ、そしてティンパニーの強打に、作曲年代に諸説あるにもかかわらず、ミュンヘンの優れたオーケストラを意識した楽器法が表れているように私には思えるのだが・・・。
メンデルスゾーン キリエ ニ短調
この「キリエ」でまず驚かされるのは、歌詞に“キリエ エレイソン”しか出てこないことである。
先に書いたように、「キリエ」というミサの中の式文は“キリエ エレイソン、クリステ エレイソン、キリエ エレイソン”のそれぞれが3度ずつ(近代は2度になった)繰り返されるのであり、音楽では3度ずつとはいかないが、クリステがないこの曲は、その式文からは外れているということになる。
歌詞の上で他にはあまり例のないこの「キリエ ニ短調」は、構成としてはほぼ2部形式、つまりA B A´B´に終結部がついたものである。Aの和声的な部分に対しBの対位法的な、2拍遅れで5部合唱の各パートとオーケストラが次々にメロディーを重ねていくポリフォニーは、あたかも唐草模様が絡み合うデザインのような美しさを描き出す。Aが短く再現されたあと、Bが今度は殆どがはじめのBの反行形で絡み合う。終結部の盛り上がりは、モーツァルトの「キリエ」が“主よ、憐れみたまえ”との“祈り”に終始するとすれば、メンデルスゾーンの「キリエ」は“叫び”から“祈り”へと変わっていくようでもある。
1825年、メンデルスゾーン16歳のこの作品は、父に連れられてパリに旅し、ケルビーニに出会って才能を認められたあと、パリ滞在中に作曲されたと言われている。ケルビーニは当代随一の作曲家で、「19Cのパレストリーナ」と呼ばれていた。そのケルビーニの影響をも受けたようななだらかな旋律の運びは、メンデルスゾーンの本質を充分に発揮したものと言えよう。
☆☆☆☆☆☆ クリコンの曲目が決まりました> ☆☆☆☆☆☆
今年のクリスマスコンサートの曲目が以下のように決まりました。
1.Christmas Lullaby (J.ラター) 2.Angel's Carol (J.ラター)
3.カンタータ147 (バッハ) 4.Paris Angelicus (フランク)
5.Ave Maria (グノー) 6.サンタが町にやってくる
7.赤鼻のトナカイ 8.ホワイトクリスマス ※6.7.8.は混声3部
9.聖なる都 (アンコール) 10.きよしこの夜 (全体合唱)
★ たくさんあるぅ!とお思いの方、ご安心下さい。‘できるだけ負担のなく、演奏効果の
ある曲’というコンセプトの下、選び抜かれた古今の名曲ばかりです。美しい旋律を
きれいに歌って、お客様と一緒に私たちも幸せになりましょう。
★ 先週から楽譜をお配りしています。もれなく、重複なくお持ち下さい。
代金は一式¥100です。(偉大なる作曲家の皆様ゴメンナサイ…。)
パート毎に名簿付き集金袋を用意しましたので、お金を入れてお名前をチェックして 下さい。
★ パートリーダーの方々を中心に自主練習が行われています。例年より出席率が高く、 充実しています。今後が期待されます!ぜひ積極的にご参加下さい>
クリコン担当 青山 道代(A)
またまた、車ご利用の皆様へお願い=
最近、明治公民館とともに、玉縄学習センターからも車利用の自粛を求める
要請が届いております。何かとご不自由をおかけ致しますが、限りある公共スペースの有効利用という観点から、極力乗り合わせ等のご協力を今後とも宜しく
お願い致します。
ÌË 2004年 8月&9月の練習日程 ËÌ
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31日(土)
7日(土)
14日(土)
21日(土)
★29日(日)
4日(土)
★12日(日)
18日(土)
23日(木) |
お 休 み
リリスホール 18:15 〜 21:30☆
玉縄学習センター 18:15 〜 21:00
リリスホール 18:15 〜 21:30☆
リリスホール 18:15 〜 21:30☆
玉縄学習センター 18:15 〜 21:00
明治公民館 18:15 〜 21:00
リリスホール 《一日練習》
※ 14:00 〜 発 声
14:45 〜 17:30 (前半)
夕食タイム
19:00 〜 21:30 (後半)
明治公民館 ※13:15 〜 16:30 |
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★ 8/29、9/12は日曜日の練習です。お間違いなく>
☆ リリスホールでの練習は21:30までとなります。
※ 時間帯にご注意下さい。
♪新入団員の方にアンケートに答えていただきました。
@湘フィルを知ったのは? A湘フィルの印象、感想。B自己PR or 湘フィルへ一言。
(S)I.Sさん
@ HPを見て
A 150人の大迫力ですごくきれいでした。
B ドイツ語がはじめてなので、勉強しながらたのしく がんばります。