《寄稿》         幸せ過ぎた作曲家
                                             B山口 太郎
  その人の名はメンデルスゾーン。彼は富裕なユダヤ人銀行家の家に生まれ、何不自
 由なく、38才の短い生涯を終えた。恵まれた天分を音楽の世界に残しながら。
 ベートーヴェンの交響曲を全曲暗譜で弾いたとか、忘れられていたバッハのマタイ受
 難曲を復活演奏したなどは周知の通りである。
  我々が今取り組んでいる彼の第2交響曲“讃歌”は1840年ライプチヒで開催さ
 れた印刷術発明400年記念祭のための委嘱作品と云われている。グーテンベルグが
 発明した近代印刷術は学術の発展に大いに貢献したが、意外な結果をもたらした。
 時あたかも大航海時代に続く産業革命。中世領主から政治権力が次第に力を付けて来
 た商人に移り、領主と統括した聖職者が独占していた教会の権威が段々と衰えてきた。
 いわゆる宗教改革(第5交響曲“宗教改革”1832年宗教改革記念祭のための作品
 がある)に発展するルターによる聖書のラテン語から独語への翻訳とその印刷普及が
 一般民衆の教育によって、教会絶対主義から聖書主義・信仰至上主義に変化していっ
 た。彼はハンブルグがナポレオンに占領されたためベルリンに移り、以降欧州各国を
 旅行し色々な音楽家と接触したり、演奏会や見聞を広めたりしていた。
    
  さて“讃歌”は冒頭祝祭の開会を告げる管楽器が鳴る。それが色々と展開しながら
 合唱につながる。‘息づくものはすべて主をたたえよ’今まで教会独占だった聖書か
 ら印刷術のおかげで我々にも歌えるようになった。身近に神の存在を感ずるようにな
 り、直接的な感謝の気持ちが込められているようだ。中世の長い暗黒の時代に涙の数
 を数えていた主によって今はじめて救済された。夜が終わり朝が来た。さぁ光明の武
 器を持とう。主の名前を呼べばこわいものは何もない。と云う風になっていると思う。
  それにしても38才の生涯は短すぎる。私自身38才の時何をしていたかは想い出
 せない。死因は高血圧による脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と云われている。
  余り幸せとは思われない批評家は、貴族的で余りにも整いすぎた音楽は表面的で深
 みがなく、熱情が感じられないと云う。然し今日、彼の洗練された上品な音楽に接す
 る時、我々もまた彼の幸せの一部分を共有できるかも知れない。これこそコーラスの
 醍醐味と云うべきか。
 
 
ドイツ語の発音に自信がない方へ・・・
 
  前期から新入団員の方も増え、ドイツ語の発音の資料がほしいとの声が聞かれます。
そこで以前にベースの益田さんがNHKのドイツ語講座のテキストを編集して下さった  ものを印刷しました。受付に置きますので、ご自由にお持ち下さい。(印刷費¥30)  また、この資料にはテープもあります。音質が落ちてしまうとは思いますが、ダビング  しますので、ご希望の方は受付の用紙に名前を書いて下さい。
                                                   寺部
 
 
2004年 湘南国際村センター合宿のご案内
                                        合宿委員長 S土肥明子
  2004年メンデルスゾーン「讃歌」公演強化合宿のお知らせを致します。
団員募集の終わる時期にあたる、曲づくりと歌い込みのための重要な合宿。 団員交流の懇親会も予定しています。全員参加でよりよい練習に致しましょう>
 
    日 時   2004年6月19日(土)20日(日)
                  
   場 所   湘南国際村センター     (地図別頁)
            〒240-0198 神奈川県三浦郡葉山町上山口1560-39
            5 046−855−1800
 
   日 程
      6/19(土)            6/20(日)
                     
     12:30  集 合(ホワイエ)     9:20  発 声
     13: 00  発 声           10:10  分 奏
        40  全体練習               (女声・男声)
                            
                            12:00  昼 食
     15:40  分 奏               
          (女声・男声)          13:30  全体練習
                            
     17:30  休 憩               
          (宿泊者部屋へ移動)    15:00  おやつタイム
     18:00  夕 食               30  全体練習
                            
     19:00  分 奏               
           (女声・男声)         17:00  解 散
                     
           (〜21:00)     
     21:30  懇親会           全体練習は国際会議室(B1)
                       分奏(男声練習)はイベントルーム(1F)
 
   会 費   A運営費(¥5,000)は全員が負担します。
         B宿泊、食事、おやつ、懇親会会費などは参加者の実費負担。
           ※ 全日程参加の場合…ABで¥20,000程度。
 
   申し込み  所定の封筒をお渡し致します。(3月以降)
         必要事項を記入し、代金を入れて受付の合宿委員までお持ち下さい。           ※ 合宿受付窓口を開設致します。おつりのないようご協力を=    
   宿泊される方へ
部屋はシングル、又はツインでのご利用となります。宿泊料金は両タイプとも一人¥13,000の統一料金とさせて頂きますので、ご了承下さい。また、特にご事情のない限り、ツインルームのご利用にご協力をお願い致します。皆様の希望状況を把握するため、2/28に所定用紙を配布致します。必要事項をご記入の上、合宿窓口にご提出下さい。
 
   食 事   全てカフェテリア“オーク”をご利用頂きます。
                   朝食    7:30 〜  9:00
          営業時間   昼食  11:30 〜13:30
                   夕食  18:00 〜19:30
 
宿泊料金にはこの3食が含まれています。宿泊以外の方の追加、キャンセルは合宿一週 間前に〆切とさせて頂きます。
利用当日は入口にて申し込みの確認をさせて頂きます。各自責任をもって名簿のチェックをお願い致します。
        ※ 原則的に食べ物の持ち込みは全館禁止とされていますので、 ご注意下さい。
 
   その他   ・バスの時刻表は受付にありますのでご利用下さい。
 
  《寄稿》    “賛 歌” の 全 体 像
                                          S大澤 栄子
 
   メンデルスゾーンの“賛歌”の楽譜の冒頭に、ドイツ語と英語で解説がついてい
  る。ダグラス・シートンの書いたものだ。折角あるのだから、どなたか翻訳してく
  ださらないかと待っていたのだが、なかなか「通信」にのらないので自分で読んで
  みることにした。
   全文は長いので、(本音は誤訳がバレる恐れあり)順序を整理し、私の注釈も入
  れながら大筋を書いてみることにした。
 
           ※   ※   ※   ※
 
   1830年代、メンデルスゾーンは一連の交響曲の作曲をしていた。それは“宗
  教改革”(第5番)“イタリア”(第4番)で、初演は終わっていたが未だ出版され
  ていなかった。“スコットランド”(第3番)に手をつけていたが、それは部分的
  なスケッチが出来ていただけで、メンデルスゾーンはスコットランドの霧の立ち
  込めたようなはっきりしないムードに、魔法でも起きない限りまとまらないと、
  お手上げ状態にあった。
  そんな時、思いがけず彼のもとにひとつの依頼が舞い込んだ。それはライプツィ
  ッヒでグーテンベルクの印刷術の発明400年を祝う祭のために、オーケストラと
  合唱による大きな作品を作ってもらいたいというものだった。
 
  メンデルスゾーンは、後に“賛歌”と名づけたこの作品を作るに当たって、聖書と、
  コラール“Nun danket alle Gott”からインスピレーションを受けた。テーマは三つ
  にしぼられた。「神への賛美」、「神の助けと慰めを待つ人々の神への信頼」、そし
  て「闇から光への脱出」であった。そしてこの三つ目のテーマは、15Cのグーテ
  ンベルクの印刷術発明によって、聖書がヨーロッパ世界にもたらされた光を暗示し
  ていた。
  “賛歌”の初演は1840年、聖トーマス教会で行われ、非常な成功裡に終わった。
  シューマンはこの演奏の様子を評論誌“Neue Zeitschrift für Musik”に載せているが、
  演奏者は全部で500人、聴衆は熱狂的な反応を示したと書いている。
 
   第1曲の始めにトロンボーンが演奏するテーマは、Cantus firmus(定旋律)のよ
  うに各所に現れ、特に中間部では木管がコラール技法でこのモティーフを演奏し、
  これが重要な意味を持っていることを予見させるのだが、第2曲の最後に突然コー
  ラスにこれが現れて“Alles, was Odem hat, lobe den Herrn”(すべて息ある者よ、主
  を誉めよ)と宣言するテーマにつながるものであることが判る。終曲を締めくくる
  のもこのことばと音型である。
  「闇から光へ」への過程をメンデルスゾーンは最も重要な詩的なイメージによっ 
  て構成している。第3,6,7,9曲がそれに当たる。コラールの歌詞が音楽的表
  現を闇から光への変化に誘導している。その最も大きな音楽的描写は、第6曲から
  第7曲につなぐテノールのソロに現れる。テノールは闇と死の恐れをハ短調から変
  イ・ハ長調・・・と転調しながら、“見張りの人よ、夜はまもなく過ぎ去るのです
  か”と歌う。この転調部分が、賛歌のテーマを最もはっきりと表している。(ここ
  を私たちは後ろでたっぷり聴かせていただけるのが楽しみ)。最後にソプラノのソ
  ロが第7曲の力強いコーラスの先触れを歌う。(127小節からの4小節)。
   中心となるコラール“Nun danket alle Gott”(すべての者よ、神を賛美せよ)は第
  8番に置かれているが、1節は無伴奏(私たちの楽譜には伴奏がある)のコラール
  で、2節“Lob, Ehr und Preis sei Gott”(称えよ、栄誉と栄光は神にあれ)はユニゾ
  ンでオーケストラの明るく丹念な音型に乗って、そして終わりの方の光が照り出る
  場面のオーケストラに、短調から長調への和音展開がある。
   いくつかのナンバーで、聖書のことばがソロで歌われコーラスがそれを繰り返す
  ことで展開されている。一部分に照明を当て、次にそれを全体に広げる手法はとて
  も効果的である。
 
   メンデルスゾーンは、この作品によって“ことば”と「音楽」を「形式」と「内
  容」にどのように結合させるかに成功した。これはロマン派の大きな特徴を作るも
  のであった。
   この合唱とオーケストラによる作品は、クリンゲマンによって“交響カンタータ”
  と名づけられ、メンデルスゾーンはそのことに感謝しつつ、1841年この曲を
  “ 交響カンタータ・賛歌”と命名して出版したのだった。
   この作品はメンデルスゾーン自身のターニングポイントとなり、挫折しそうにな
  った第3番“スコットランド”を完成させる自信を取り戻した。
 
           ※   ※   ※   ※
 
   “賛歌”の構成と全貌が見えてきたようである。最後にコラール“Nun danket  
  alle Gott”について言及しておきたい。
   これはドイツのリンカルトが詞曲ともに1630年に作ったもので、世界中のプ
  ロテスタント教会で歌われ、J.S.Bach もカンタータ79番、192番に用いている。
  多くの作曲家によるコラール前奏曲も数え切れない。
  “賛歌”全10曲の中で一番地味な第8曲にこめられたメンデルスゾーンの思い 
  を汲み取りつつ、このコラールが歌えればと思っている。
 
    2004年 3月&4月の練習日程    
 2月  28日(土)  玉縄学習センター       18:15 〜 21:00
 3月   6日(土)  明治公民館        ★ 17:00 〜 21:00
                 17:00 〜 17:30 発 声
                  17:30 〜 18:30 全体練習
                 18:30 〜 19:00 休憩(軽食)
                 19:00 〜 20:00 分奏
                  20:00 〜 21:00 全体練習
              全員の早出練習となります。軽食は各自ご用意下さい。
      13日(土)  湘南台公民館 ホール    ◇ 19:15 〜 21:30
                 ◇ 会場の都合で、遅いスタートとなります。
                   会場の案内図は通信1月号にあります。
                   お持ちでない方は受付までお申し出下さい。
      20日(土)  明治公民館       (☆)18:15 〜 21:00
      27日(土)  玉縄学習センター       18:15 〜 21:00
 4月  3日(土)  玉縄学習センター       18:15 〜 21:00
      10日(土)  明治公民館        ☆ 18:15 〜 21:00
      17日(土)  明治公民館        ☆ 18:15 〜 21:00
      18日(日)  かながわ女性センター(江の島)ホール  9:45集合
                 10:00 〜 10:30 発 声
                 10:30 〜 12:00 全体練習
                 12:00 〜 13:30 昼 食
                 13:30 〜 15:00 分 奏
                             (男声は2F視聴覚室)
                 15:00 〜 16:30 全体練習
               ◇ 昼食は各自ご用意下さい。食事室は2F研修室です。
                 練習後に‘打ち上げ’を予定しています。自由参加。
                 会費 4〜5、000円(当日徴収)
     24日(土)  玉縄学習センター       18:15 〜 21:00
        ☆ グループ・ヴォイトレがあります。(17:00 〜 18:00) 
          パートリーダーからの連絡にご注意下さい。 (☆)は未定。