演奏曲目紹介

湘南フィルハーモニー合唱団 第19回演奏会

ドヴォルザーク レクイエム

   演奏会日時 2008年11月1日(土)

会   場 横浜みなとみらいホール


“レクィエム”変ロ短調、作品89. B 165 は、作曲者49歳の、1890年1月から10月にかけ、イギリスのバーミンガム音楽祭用に(純然たる演奏会用として)委嘱され作曲されたもので、1891年10月9日、同音楽祭において、作曲者自身の指揮で初演された。
 もうひとつの、彼の出世作となった名作“スターバト・マーテル”(1877年11月作)が、立て続けに3人の愛児を失った悲しみから書かれたのに比べ、作曲の動機は明らかに異なる。この時期の彼は大作曲家として世に認められ、社会的地位も得、栄光と幸せの絶頂期にあった筈であるが、何故、このような厳粛な死者のためのミサを書いたのかは定かではないが、おそらく敬虔なカトリック教徒としての深い信仰心によるものでは
ないか、と言われている。
 曲は、素朴で抒情的な美しい旋律にあふれているが、冒頭の、バッハのロ短調ミサの第二キリエからから取った、と言われる半音階的モチーフが全曲を通じて変化しながら随所に現れ、全体を繋ぐ重要な動機となっているのが特徴である。
 そして、紛れもなくこの曲もまた、モーツアルト、ヴェルディらのレクィエムと並び称される名作である。