今回はらららさんからご要望のあった、エッチシーンの書き方だ!
――わ〜い。女の子とエッチできるぞ、できるぞ〜♪
おい。
――なに?
なぜおまえが裸なのだ。
――てへ、エッチシーンっていうから本番に備えて……。
ばき〜〜〜っ!
――ぐほお……セックスとは暴力のことだったのかぁ……。
いいからエッチシーンを見せろ。
――もう出来てるよ。
早いな。
――てへ。ボクチンいつもそう言われるんだ、あなたって早いのねって。
そりゃ早漏だろうが。
――ぐは……密かに気にしてたのに……。
…………む?
おい、なんだ、この白濁した液体は。
――え、それ? シコシコしながら書いたから飛び散ったのかも。
ばき〜〜〜〜〜〜〜っ!
◆秒数指定だけで声優に全投げするな
【 ボクチン 】もみもみもみもみ
【 美紀 】「(喘ぎ声テキト〜に1分程度)」
【 ボクチン 】もみもみもみもみ、そりゃ、もみもみもみもみ。
【 美紀 】「(喘ぎ声テキト〜に10分程度)」
【 ボクチン 】ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ
【 美紀 】「(絶頂の声10秒)」
【 ボクチン 】ムフ
――どう、初めてのわりにはよく出来たと思うんだけど。
おい。
――何? ビューティホー?
バキッ、ドカドガドガ、バキ〜〜〜〜〜〜っ!
――ぐへっ、ぎょはっ、ひでぶぅ…………。な、なにをしゅるんだ……。
ばっかも〜〜〜〜ん!
――ほんな、怒鳴らないでよ……ぐへえ……。どうせ喘ぎ声なんかわかんないんだからさ、アドリブで全部やってもらえばいいじゃん。
うむ、確かに選択肢を選ぶとき以外、メッセージウインドウが出ないゲームならオッケーだな……って、ちが〜〜う!
全部アドリブで任せたら手抜きだろ〜が〜〜〜っ!
――じゃあ、こういうのは?
【 美紀 】「んふん、気持ちいい? (フェラチオの音、アドリブで15秒程度)」
――部分的にアドリブ。
手抜きだ。そういうことをすると、喘ぎ声(もしくはフェラチオ音)と文字が合っていない、手抜きだと言って、ユーザー様に叱られるのだ。
――じゃあ、あとで直せばいいじゃん。
面倒くさいわい。
だいたいな、そういういい加減な書き方をすると絶対ユーザーにばれるのだ。情熱の薄いところ、エネルギーを傾けなかったところはちゃ〜んとユーザーさんに見抜かれるのだ。エッチシーンで、ただ秒数を指定して声優さんに全投げするのは、手抜きどころかユーザーへの冒涜だ。全部書き直せ。
◆地の文は必ず書け!
【 ボクチン 】もみもみもみもみ
【 美紀 】「ああ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ」
【 ボクチン 】もみもみもみもみ、そりゃ、もみもみもみもみ。
【 美紀 】「あん、あん、あん、あん、あん、あん、あん」
【 ボクチン 】ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ
【 美紀 】「いっちゃう、いっちゃう、いっちゃう〜〜〜〜〜!」
【 ボクチン 】ムフ
――どう? よくなったでしょ? 今回、結構自信あるんだあ。
おい。
――なに? 頭撫で撫でしてくれんの?
ゴツン!
――ぎょわあ……何しゅるんだあ。
なんだ、これは。擬音ばっかりだろうが!
――その方が臨場感出るかなあって思って。
出んわい! エッチシーンではしっかり地の文を書け!
――え〜〜っ、書かなきゃだめ?
ダメ。
自分も、処女作の『Fortune Lover』の次からは全然地の文を書かなかったけれど、それで手抜きだ、エッチシーンが甘いだ、エロくないだあ、いろいろと言われたぞ。
――本人はエロエロの塊なのに。
やかましい。
地の文を書かなかったのはソフトハウスの方針だ。当時所属していたソフトハウスでは、選択肢表示以外、一切のメッセージを表示しなかったのだ。だから、地の文を書く必要はなかったのだ。
それでベルダ時代も当初はエッチシーンで地の文を書かなかった。そしたら、手抜きだと評されてしまった。それで『あめいろの季節』でちゃんと地の文を書いたら、エロいと言ってもらえた。
――それは、単にお姉ちゃんと初エッチ後も何回かエッチできたからじゃないの? 恋愛物って、だいたい初エッチ=エンディングみたいな感じじゃん。
ふむ、確かに。純愛を謳うものは、即H成仏を目指してるところがあるよな。
それでも、もし『あめいろの季節』のエッチシーンに地の文がなかったら、決してエロいとは言われなかったと思うぞ。「お姉ちゃんと初エッチ後もエッチできたのはよかったけど、エッチシーンは手抜きだ」な〜んて指摘されていただろう。
――うっ……厳しい。
ユーザー様は厳しいのだ。だって、18禁ゲームだぞ。
――ぐぐっ……。
エッチシーンでは必ず地の文を書くこと。それが18禁ゲームの宿命だ。
◆ハードポルノを読もう
ところで、助手よ。
――へい。
おまえ、ポルノは読んだことがあるだろうな。
――ムフ。任せてよ。ボクチンの愛読書ってポルノだよ。
ほほう。参考にしているポルノはあるか。
――エロゲーのノベライズ。
そんなもの参考にするな〜〜〜っ!
――うわあ、びっくりしたあ。どうしてさあ。
エロゲーのノベライズは基本的に下手くそだからまねするんじゃな〜〜〜い!
――わっ、暴言。
真実はいつだって暴言なのだ。
全部ではないが、エロゲーのノベライズというのは、すげえ低料金ですげえ短い期間で、アマチュアに毛が生えた連中に突貫工事で書かせたりしているのが結構あったりするものなのよ。だから、とても参考に出来た代物ではないのだ。
――ぎょわあ……そうだったのか。大人の事情ってやつなのねえ。
突貫工事の糞小説を参考にして書いたエッチシーンを読んで、ユーザーが楽しめると思うか?
――ぐぐ……。
参考にするのなら、もっとましなものにしろ。最低でもジュニアポルノ。
――ジュニアポルノって、ジュニアノベルのポルノ版みたいなやつ?
ジュニアポルノというのは、二次元ノベルスとかナポレオンXXノベルスとかゼロノベルスとか青心社文庫といったラインナップにあがっているポルノ小説だ。劇画調のエロ漫画に対して美少女コミックがあるように、ハードポルノに対してジュニアポルノがある。そういう位置づけのポルノだ。
──ハードポルノ?
フランス書院の黒い表紙の文庫や、グリーンドア文庫や、マドンナメイトとか日本出版社のアップルノベルスとか、そういういわゆるオジサン向けのハードなポルノ小説の総称だ。
参考にするなら、ハードポルノにしろ。さらにワンランク上の文章レベルを吸収できる。
――でも、純愛には関係ないんじゃ……
雰囲気はもちろん、違う。しかし、エッチシーンを書く時に必要な文章力というのを学びとることができる。全然エッチシーンがしっかりしていてうまいのだ。凌辱が多めだが、それでもエッチシーンの文章としては十二分に参考になる。エロゲーをつくるのにハードポルノを読んだこともないようでは、もぐりとしか言えんな。
◆女というものを知らずしてエッチシーンは書けず
――どんな人のがいい?
まあ、待て。
ポルノ小説を読む前にもっと大切なことがある。エッチシーンを書くのなら、基礎教養として、女を知ることが必要だ。女を知らずしてポルノは書けない。
――ボクチン、女ならよく知ってるよ。昨日もイメクラに……。
そういうレベルのことではない!
女にサービスしてもらって、それだけで女がわかるか〜〜っ!
女を知るということは、女とセックスするということではない。女という感情、女という動物、女という生き物がどういうものかを理解することだ。
――女はボクチンの僕(しもべ)である。
ゴン!
――ぎゃあ!
おまえは変態の僕だろうが!
――グスン……はい、そうです……。
よろしい。
まず、男女の性的な違いは、フランチェスコ・アルベローニ『エロティシズム』(中公文庫)で理解しよう。かなり男と女のエロティシズムの違いがわかる。
そして阿部牧郎『金曜日の寝室』(徳間文庫)。いろんな女の要約、セックス前/後の女の変化の説明がすばらしい! 是非読んでほしい。女を知らずしてポルノは書けない。
それから出来ることなら、知的生き方文庫からよく出ている桜井秀勲の女の口説き方の本も読んでほしい。なかなか女性というものに対して鋭い指摘をしてくれている。勉強になるぞ。
◆ハウツー本は揃えておこう
セックスのハウツー本も、2、3冊は持っていたほうがいいだろうな。
――どうして?
ヘリコプターの動かし方を知らないのに、ヘリコプターの活躍する小説を書けるか?
――うぐ。
エッチシーン(ポルノ)とは、ヘリコプターの代わりに女を動かす場面だ。女をいかせる方法、気持ちよくさせる方法を知らずしてエッチシーンは書けない。
――ぐぐっ……。
どこにアヌスがあるのか、会陰とはどこなのか、どこにクリトリスがあって、どれくらい感じるものなのか……なんてことを知らずにエッチシーンを書くのは、エッチシーンに対する冒涜だ。プロのすることではない。
――ぐぬぬぬぬ……。
そのためにも、ハウツー本は絶対に2、3冊必要だ。ちなみに、我が本棚にはハウツー本が30冊ぐらいあったりする。ムフ。
――ぐぐっ……へ、変態。
貴様に言われたくはない!
◆オススメのポルノ
自分の個人的趣味でよければ、オススメのポルノを紹介しよう。
まず、綺羅光は外せないな。この人は本当にうまい。少ない文章でしっかりエロを描き切るところが凄い。『メガストア』のインタビュー記事でも、確かギルティの社長さんが推薦していたな。
ただ、綺羅光は基本的に凌辱だ。この人の本で凌辱でないものを読みたいのならば、フランス書院文庫の『美人課長・映美子』がオススメだ。
同じ凌辱系だと、由紀かほるもいい。この人はよくアップルノベルスで書いている。
それから、中古だが、ロマン文庫の『十字軍艶征記』。
こいつはうまいぞ。男性器の表現がプリック、女性器の表現がカントとなってるのには、翻訳もの特有の匂いを感じるが、お話として面白い。名作だ。絶版なのが悲しいが……。
あと、フランス書院文庫で、ドン・ベルモアの『姉の寝室』もいい。おれが初めて手に入れたポルノ小説だが、今読み直してもノスタルジーを超えるものがある。甘酸っぱいものを感じさせてくれる。恋愛物のエロゲーには参考になるだろう。中古で是非手に入れよう。
同じフランス書院文庫でトー・クンの『姉』『義母』『女教師』もいいぞ。今なら『トー・クン全書』として復刊されているので、新刊で手に入れることが出来る。
匂い、ということでこだわるなら、睦月影郎もいい。氏の作品の中では『巨乳妻奈津子の匂い』(グリーンドア文庫)が好きだ。
それから、新潮文庫から出ている、斎藤綾子の小説も参考になる。1冊読むと、女特有のエロエロ感がわかる。
――さ、さすがエロ男。
ほめてもらってもうれしくはない。
――ムフフ、けなしてんの。
ぬわんだと?
――ぎゃ、ぎゃあ〜〜、お許しを〜〜〜っ!
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