◆ものを創る基礎教養 2001.2.20
黒澤明の『夢』が凄くつまらなかった、なんて海里と話をしていて、基礎教養の話になった。
曰く、クリエイターとしての基礎教養ってあるんちゃうか、と。クリエイターなら見ておかなければならない映画、漫画、小説というのは、あるんじゃなかろうか。
基礎教養とは、そういう映画や漫画・小説についての知識・体験のことだ。
少し噛み砕いて言えば、ものを創る者なら知っていて当たり前的な映画・漫画・小説を、知識としても知っているし、実際に見たり読んだりもしている、ということ。それが、クリエイターとしての基礎教養だ。
ものを創る基礎教養は、絵でいえばデッサンみたいなものだ。
それがなくても、「取り敢えず」仕事」が出来ないわけではない。
でも、後々クリエイターを続けていくうちに、己の非力を思い知り、恥を掻く羽目に陥る。躓きの遠因になる。
たとえば、SF映画を撮りたい人が、『2001年宇宙の旅』を知らないのは、どうか。
純文学をやりたい人が、夏目漱石を読んだことがないというのは、どうか。
演劇をやる人が、一つもギリシア悲劇を読んだことがないというのは、どうか。
知っているから、経験しているからといってそれがどう本人に働くかはわからないけれど、知らずにものを作る軽率さは、少なくとも回避できるのではないか、と思う。もしかすると、意識下の底で、ものづくりの礎となってくれるかもしれない。
己の教養的甘さを省みるにつけ、そんなことを思うのである。
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