◆パンティ反比例の法則 2004.1.6
   

 風は魔術だ。
 1999年の6の月、会社に行く途中で交差点を渡っている女子高生に出会った。
 流行りのチェックのスカートに、真っ白のブラウス。背中のブラの紐が眩しい。セミロングの茶髪と鉄腕アトムみたいなルーズソックスがいかにも今時の女のコだ。
 好みのタイプではないな、と思ったその時、交差点を突風が舞った。
 一瞬の出来事だった。
 交差点を駆け抜けた一陣の風は、瞬く間に婦ぺろりとスカートをめくりあげていた。まるでスカートの裾に釣り糸を引っかけて、1、2の3で引き上げた感じだった。
 目に飛び込んできたのは、白地に二本のストライプ、そしてピンクの水玉のパンティだった。まるで小生意気な顔とは正反対、雰囲気とは違う色合いとデザインに、自分は我を忘れた。
 だが、その瞬間、女の子の雰囲気と身に着けているパンティとは、反比例するのではないか、と閃いたのだ。
 過去に付き合った女の子のことを思い描いても、どちらかというと清楚な方で淫乱や小生意気とはほど遠く、おおよそ純白のパンティを身に着けているに違いないと思われる女の子に限って、紫色の大人っぽいものをしていたことが多かった。逆に、美しい顔だちではなかったり、ヤンキー風であった方が、かわいらしいパンティを着けていたように思える。
 髪形や服装は、恐らく女の表の顔だ。そこには、女の子が身構えたいイメージ、防衛のためにまといたいイメージが表れる。自分がキティちゃんを好きだったり、実は大人っぽさに惹かれていたり、といった人に見られたくない部分はコーティングされてしまう。でも、そういう裏の部分は、裏の衣装──すなわち、パンティという下着の部分に、透けて出てきてしまうのではないか。パンティという秘匿性の部分には、精神面の秘匿性の部分が表れるのではないか。
 パンティは最も無防備な部分を覆うものである。だとするなら、そこに女性の最も無防備な心理的な部分──それを見られると人に笑われたりするかもしれないけど、自分が惹かれているイメージ──が表れるのではなかろうか。

   

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