入れ歯の誤飲・誤嚥

誤飲して胃にある小さな部分入れ歯のレントゲン像      誤飲して胃にある小さな入れ歯のレントゲン像

 以前女性の患者さんが、入れ歯を飲み込んでしまった死ぬ死ぬと言って駆け込んで見えた。
 放射線科に頭部から下腹部までのレントゲン撮影を依頼して、撮ったフイルムを見てみたがどこにも入れ歯らしいものはみえない。このことを話すと、私の入れ歯はレントゲンに写らないものだと言って不安を解いていただけない。カルテで確認すると普通の金属のばねを使った入れ歯で、レントゲンで写らないはずがない。色々説明を試みるのだがなかなか了解してもらえず大変苦労した。

 昔、国立栃木病院に出向していた時、耳鼻科の医長だった行木先生から食道に引っ掛かっていたのを取ったばかりの一本義歯(1本歯がないところを両脇の歯にばねをかけた入れ歯)を見せていただいたことがある。摘出に使った異物鉗子の先にサメの皮膚(エナメル質でできている)が貼り付けられていて滑りにくくなっていることも教えていただいた。

 バイト先の診療所で、スイスで作ってもらったという1本歯がないだけなのに大きく反対側までまわりこんだ金属製の義歯を見せてもらったことがある。スイスでは無いところだけの小さな入れ歯を作ってはいけないことになっているのだそうだ。
 大きくすれば安全かというとそうでもないようで高齢者で総入れ歯を飲み込んでしまって窒息した話なども聴くことがある。

 年末に新しく作った入れ歯でおもちを食べるのが楽しみだなどと患者さんに言われると、正月に窒息事故が多いことが頭に浮かんで、くれぐれも小さくして少しずつ食べてほしいとお願いしている。

佐藤歯科フラッグ