(1) じん肺健康診断(じん肺法第3条、第7〜第9条の2

注) 詳細につきましては中央労働災害防止協会にお問い合わせください

じん肺法施行規則で定められた25種類の粉塵作業に常時従事し、または従事したことのある労働者に対しては、@就業時A定期 B定期外 C離職時につぎの項目のじん肺健康診断を行わなければなりません。

1 粉塵作業についての職歴の調査
2 エックス線写真による検査(胸部全域の直接撮影)

【胸部エックス線写真にじん肺の所見が認められるものに行う検査】

  @胸部に関する臨床検査

1 既往歴の調査
2 胸部の自覚症状および他覚所見の有無の検査

  A肺機能検査

(一側の肺野の三分の一を超えるじん肺による大陰影の認められる者と合併症のあるものは除く。)

1

一次検査 スパイロメトリーおよびフローボリューム曲線による検査

2 二次検査 動脈血ガスを分析する検査(二次検査は所定の要件を満たす場合のみ)

  B結核精密検査(結核又はその疑いがあるもの)

1 結核菌の検査
2 エックス線特殊撮影による検査
3 赤血球沈降速度検査
4 ツベルクリン反応検査

  医師が必要でないと認める場合は一部の検査を省略することができます

Cその他の検査(肺結核以外の合併症の疑いがある者については、次の検査のうち医師が必要と認めた項目について行う)
1 結核菌の検査
2 喀痰検査(肺がんに関する検査としては、喀痰細胞診を行う)
3 エックス線特殊撮影による検査(肺がんに関する検査としてはCT検査)



(2) 有機溶剤健康診断(有機溶剤中毒予防規則 第29条)

有機溶剤業務に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置換えの際および6月以内ごとに一回定期に、次の項目を実施しなければなりません。

1 業務の経歴の調査
2 有機溶剤による健康障害の既住歴の調査
有機溶剤による自覚症状および他覚症状の既住歴の調査
有機溶剤による異常所見の既住の有無の調査
4)の既住の検査結果の調査
3 自覚症状または他覚症状の有無の検査
4 尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査
5 尿中の蛋白の有無の検査
6 肝機能検査 (GOT,GPT,γ-GTP)
7 貧血検査 (赤血球、血色素量)
8 眼底検査

  このうち(4)および(6)〜(8)は、取り扱う溶剤の種類によっては必須項目。

 医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目

1 作業条件の調査
2 貧血検査
3 肝機能検査
4 腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く)
5 神経内科学的検査


3) 鉛健康診断(鉛中毒予防規則 第53条)

1 業務の経歴の調査
2 鉛による自覚症状および他覚症状の既住歴の調査
血液中の鉛の量および尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既住の検査結果の調査
3 自覚症状または他覚症状の有無の検査
4 血液中の鉛の量の検査
5 尿中デルタアミノレブリン酸の量の検査


医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目

1 作業条件の調査
2 貧血検査
3 赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査
4 神経内科学的検査


(4) 電離放射線健康診断(電離放射線障害防止規則第56条)

放射線業務に従事し管理区域に立ち入る労働者に対しては、雇入れの際または当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に次の項目の健康診断を実施しなければなりません。


1 被ばく歴の有無の調査及びその評価
2 白血球数および白血球百分率の検査
3 赤血球数および血色素量またはヘマトクリット値の検査
4 白内障に関する眼の検査
5 皮膚の検査




(5)特定化学物質健康診断(特定化学物質等障害予防規則 第39条)

特定化学物質を取り扱う労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際および6月以内ごと(ベリリウム及びニッケルカルボニルを取り扱う労働者に対する胸部エックス線直接撮影による検査は1年以内ごと)に1回定期に実施しなければなりません。また特定化学物質を取り扱ったことのある労働者についても6月以内ごとに同様の健康診断を実施しなければなりません。


* 特定化学物質は各グループ(A〜W)毎に検査項目が異なりますので注意が必要です  



(6)高気圧業務健康診断、四アルキル鉛健康診断、歯科健康診断

*行政指導による主な健康診断


(7)VDT作業健康診断(平成14年4月5日基発 第0405001号)

VDT作業に従事する労働者に対しては、作業区分A、B、Cに応じて配置前および定期に、次の項目の健康診断を実施する必要があります。 しかし配置前健康診断を行う前後に一般健康診断が実施される場合は、一般健康診断と、定期健康診断は一般定期健康診断を実施する際に、併せて実施してみ差し支えありません。例としまして 作業区分(A)健康診断の主要項目は次のとおりです。作業区分 B,C の詳細につきましては労働基準監督署に問い合わせしてください。



配置前健康診断

1 業務歴の調査
2 既住歴の調査
3 自覚症状の有無の調査(問診)
4 眼科学的検査 5m視力検査
近見視力の検査(50cm視力又は30cm視力)
屈折検査  (5m視力検査及び近見視力に異常がない場合は、省略可)
眼位検査
調節機能検査  (5m視力検査及び近見視力に異常がない場合は、省略可)
5 筋骨格系に関する検査 上肢の運動機能、圧痛点等の検査  (問診において異常が認められない場合は、省略可)
6 その他医師が必要と認める検査

定期健康診断

1 業務歴の調査
2 既住歴の調査
3 自覚症状の有無の調査(問診)
4 眼科学的検査 5m視力検査(矯正視力のみでよい。)
近見視力の検査  (50cm視力又は30cm視力)(矯正視力のみでよい。)
その他医師が必要と認める検査
5 筋骨格系に関する検査 上肢の運動機能、圧痛点等の検査  (問診において異常が認められない場合は、省略可)
6 その他医師が必要と認める検査

       


(8)騒音健康診断(平成4年10月1日基発 第546号)

(通達の別表1、2に示されている)等価騒音レベルが85dB(A)以上になる可能性が大きい60作業場の業務に従事する労働者に対し、雇入れの際、または当該業務への配置替えの際および6月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断を実施する必要があります。ただし、作業環境測定の結果その作業場の等価騒音レベルが85dB(A)未満の場合には、6月以内ごとに1回の定期の健康診断は省略することができます。


雇入時健康診断

1 既住歴の調査
2 業務歴の調査
3 自覚症状および他覚症状の有無の検査
4 オージオメータによる250、500、1,000、2,000、4,000、8,000ヘルツにおける聴力の検査
5 その他医師が必要と認める検査

定期健康診断

1 既住歴の調査
2 業務歴の調査
3 自覚症状および他覚症状の有無の検査
4 オージオメータによる1,000および4,000ヘルツにおける選別聴力検査

定期健康診断の結果、医師が必要と認める者については次の検査を実施しなければなりません。 

1 オージオメータによる250、500、1,000、2,000、4,000、8,000、ヘルツにおける聴力の検査
2 その他医師が必要と認める検査