あせび野(宿情報・感想)

2002/11

国道136号を修善寺から天城峠に向かう途中、国道から少し入った湯ヶ島温泉近くにあります。2002年4月に嵯峨沢館の姉妹館としてオープンしました。最近流行のスタイルで、和洋のテイストをバランスよく取り入れ、必要以上に係りの方が部屋に出入りしないタイプの宿。
<部屋>
緑一杯の渓谷沿いに山の傾斜を生かして建てられた建物は、新しいせいもあって明るく綺麗。随所に野の花が活けられ、ロビーやテラスにゆったりと椅子が配されています。部屋のタイプは和・和洋・洋とさまざま。全室露天または半露天風呂付。その上、大浴場、貸しきり風呂2つと贅沢なこと。源泉が敷地内に5本あるとかで、どのお風呂も24時間お湯があふれつづけています。
車を置いて(自分で置きに行きます)係りの方に荷物を渡すと、吹き抜けの広いロビーでチェックインです。お茶とお菓子をいただき、早速部屋に。今回はこだわって1つだけある洋室に予約を取りました。ロビーが2階、レストランが1階、大浴場は地下1階という作りで、洋室は1階のレストラン棟とは反対側、外廊下を歩いて一番奥になります。部屋は板の幅が広いフローリング(天城杉)
に、セミダブルサイズのベッド、木製の椅子・テーブルなどがあり、外にはゆったりとした椅子2客とテーブルがテラスにあります。そしてその横には石造りの1.5畳くらいの大きさの半露天風呂と洗い場。テラスとの間の引き戸を開けるとかなり開放的。クローゼットの中には浴衣と作務衣(5センチきざみでサイズがあるそうな)、貴重品箱は4つに分かれていてそれぞれに鍵がかかるようになっています(グループには便利!)。使い捨てタイプのタオル地スリッパが用意されていて、なんとその横にマジックまであってマイスリッパの印を書いてくださいと。そのほかにも脱衣所にはタオルウォーマー、部屋の鍵は2セットとかなり至れり尽せりの感じ。これで加湿器があったら言うこと無しなんですけどね〜。浴衣が新しくなっても羽織や紐は前のお客さんのまま・・・みたいなところが多いなかで、どれも綺麗に洗濯された感じがしてそれも好印象。
<大浴場>
さて部屋露天に引かれながらも取り合えず大浴場へ。エレベーターを降りると正面に冷水機が用意されていて、その横にバスタオル&フェイスタオルが積まれてます。男性・女性それぞれのアメニティーセットもあり。それを取って屋根付きの渡り廊下を行くと風呂入り口。脱衣所はやたら狭い。洗い場に入ると(ココも決して広いとはいえない)カランが5つ。引き戸を開けるといきなり広大な露天(半分くらい屋根付き)。一番奥に洗い場が4つほどあります。打たせ湯もありますが、それほど気持ちいいという感じのお風呂でもないですね。なにせ内湯の湯船につかることなくいきなり外に出るので、冬場はちょっとつらいっす。
<食事>
食事時間はチェックイン時にセレクトできます。特に呼び出しとかはしてくれませんので、時間になったらレストランへ行きます。完全な個室ではなく、ブースで仕切られた感じですが、Yチェアを使っていて雰囲気はグッド!ただお隣りの話し声や廊下をあるく係りの方の音、配膳の音は丸聞こえ。落ち着かない感じもする。内容はいわゆる「懐石料理」。美味しいですが、これといって決め手にはかけます。どこの旅館でも食べることの出来るお料理ですね。ただ、器が今風でなかなかおしゃれ。お酒の種類も豊富です。でもデザートがいちご・・・なんとなく季節感が違うような・・。 朝食は前夜と同じ場所で。鯵の干物が美味。豆腐・卵焼き・かまぼことありきたりですが、それぞれにこだわりを感じました。デザートはグレープフルーツとキィーウィとパイナップル。う〜ん。

夜は部屋露天へ。洗い場が外なのでお湯につかるまではさぶっ!でも一度入ってしまったら気持ちいいこと(湯温は熱めです)。なにせ出っ放しの源泉100%のお湯が湯船からド〜っとあふれてこれこそ温泉の醍醐味!貸しきり風呂はフロントに予約を取り、フロントでタオルと足拭きマットをもらってから行きます。一度下駄に履き替え(少々メンドイ)外の階段を川の方へ降りていくと、そこに小屋が。狭い脱衣所の扉を開けるといきなり風呂で、脱衣所の籠が2つのわりに大きな湯船(これが熱い!)。窓が開けられていて半露天風の感じ。こちらも湯船からお湯が溢れ出る。その小屋の横にさらに降りる階段があり、完全な露天が1つ(試していないので解りません)。
<全体として>
休前日で27000円という価格にしては満足度かなり高いと思います。女中さんべったりのサービスを望まれる方には向きませんが、カップルでこもるにはおすすめ。何で満足させ、どこでコストをおさえるか、かなり研究されているように思います。リピーターが多い伊豆地方の宿としては、チェックアウトを11:00にしていただきたいですね。もう一つ贅沢を言えば、食後にコーヒーがあったら最高なんですが(ロビーで注文しろって!)。おそらく私もリピーターの一人になる予感がしますので・・・。ただし、高齢の方が冬場に行くには内湯がまったく無しというのが危険に思えます。(2002/11)


宿のエントランス 吹き抜けの広々としたロビー。コーヒーなどの喫茶もある。11月末ということでクリスマスディスプレーがされていた。 ロビーでチェックイン時にだされるお菓子。茶たくと菓子皿が一体化している器。くるみ味のお饅頭はあっさりとした甘味で、おいしい。 ロビーのある建物と各部屋は外廊下でつながっている。二部屋ごとに空間があるので、離れ風に全室が角部屋状態になる。
洋室のベッド。やや柔らかめのクッション。 洗面所。趣のある洗面ボールのわりには、自動水栓で水が欲しくてもお湯が出てきてしまう 部屋付き露天。部屋によっては囲いのないタイプもある。 クローゼット内の浴衣・作務衣など。そして4つに分かれた貴重品ケース。それぞれに鍵がついて便利。
レストランの個室。Yチェアのすわり心地はやっぱりいい。 夕食。食前酒と前菜。このあとに合鴨のつくねの煮物が出た。 お造り。まぐろ、ホッキ貝、いか等。手前にあるのはわさび。 かき、天城牛、椎茸などを陶板焼きでいただく。
海老芋と子持ち鮎を大根で巻いた煮物。(二人分の合わせ盛り) 揚げ物。しめじ、さつまいも、くわいの海老すり身はさみ揚げ。揚げたてで美味しい。この後に酢の物が出る。 親子茶漬け。白米に鮭フレークとイクラが乗っていて、そこに番茶をかけていただく。個人的にはイクラより鮭をもっと沢山のっけて、きざみのりがよかったな・・。椀物は吸い物。 朝食。鯵のひらき、厚焼き玉子、かまぼこ、くみ豆腐、三つ葉とえのきの和え物、サラダ、マグロのたたきなど。


<再訪>

2004/01

14ヶ月ぶりの再訪になります。今回は部屋を変えて和洋室。TWINベッドルームと掘りごたつ、そして部屋付き露天は囲みなしのオープンタイプ、洗い場が小さいながらも独立してドア付き。このタイプは全18室の中で2部屋だけですが、冬の掘りごたつはやはり暖かくて嬉しいものです。ベッドルームとの段差は階段で2段。夜は階段横に足元灯が点くので安心。そしてコタツでもベッドでもテレビが見られるように2台セットされています。一つは壁掛け液晶テレビでござりまする〜。前回の洋室は一番下の階で川に近かったのですが、今度はロビー階なので採光もよく、緑も楽しめます。個人的にこのお部屋はおすすめです。
夕食は6時と6時45分で選択、食事内容は揚げ物が無くなり(たまたまかもしれませんが)、イノシシの角煮(豚よりさっぱり)やアンコウ鍋が登場。炊き込み御飯にデザートはメロン。無難にまとまっている感じですが、全体にやや甘めの味付けかもしれません。伊豆名物の生わさびの香りはさすがですけど。
そして朝食は8時、8時半、9時で選択。なんと洋食が登場。以前は連泊者のみの対応だったのを、1泊でも選択可能になりました。和食は豆乳豆腐、鮎(岩魚?)の干物、ほうれん草のおひたし、卵焼き、しらす、など。洋食はワンプレートにウィンナー、スクランブルエッグ、カリフラワー・人参などが盛られ、根菜のコンソメスープ、サラダ、パン、フルーツ、牛乳かジュース,コーヒー(味は??)です。係りの方に聞いたところ、洋食を希望するお客さんが多く、昨春あたりから洋食対応を始めたとのこと。好みに合わせて選択できるのは嬉しいですね。

再訪して驚いたのは確実に進歩していたことです。まず朝食の洋食対応、そして各室に加湿器(ハイブリッド式)が用意されていた事。のどが痛くなることもなく、濡れたタオルを干したりして湿度を気にしなくていいし、とてもありがたかったです。
大浴場は相変わらず寒いですが、脱衣所は暖房ガンガンで入り口に積まれたタオルも温め・・・と色々努力している感じが伝わります。部屋付き露天は湯があふれ、やはり最高に気持ちいい!また来よう!と思わずつぶやいてしまいました。
ただ一つ気になったのは、予約専用電話で予約した時の事、部屋タイプについて(特に露天の形状と洗い場について)しつこく伺ったところ「そこまでは見たことが無いのわかりません」と・・・。半年以上も前の事なので今は改善されているかもしれませんが、予約係りの知識として必要なものではないでしょうか?(2004/01)


「花の蔵」219号室。左が掘りごたつの和室。奥にベッドルーム。鍵は2つ用意されています。 和室から洋室の反対サイドを見たところ。壁掛け液晶テレビの下に椅子セット。障子の向うに少し見えているのが水屋のコーナー。 部屋付き露天風呂。右手のドアは洗い場になっている。 夕食。先附。姫サザエの焼き物、牛肉山菜巻き、からすみ、イカの黄金焼き、クワイのすり身に黒豆の入ったもの、ゆりね。
椀物。羽子板はんぺん、てまり麩など、正月らしい内容。 お造り。マグロ、鯛、イカ、平目。おろしたての生ワサビでいただきました。中央上の小さい白い花はワサビの花です。この季節に咲くそうな。 焼き物。鯛。 煮物。イノシシの角煮
アンコウ鍋。アンコウ、肝、こんにゃく、春菊、豆腐、うど、などを味噌味で。 酢の物。イセエビサラダ、雲丹ドレッシング。 炊き込み御飯とお吸い物。 朝食の洋食。ウィンナー、ベーコン、ほうれん草・椎茸・人参のバターソテー、カリフラワー(カレー味)、スクランブルエッグ。


宿名 あせび野
住所 静岡県田方郡天城湯ヶ島町湯ヶ島1931-1
電話 0558-85-1926
客室数 18
チェックアウト 10:30
食事場所 朝夕:ダイニング個室
その他 2つの貸しきり風呂は1時間単位で予約制
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